あおり運転の罰則、違反点数は?厳罰化で道交法がどう改正された?

令和2年6月2日、あおり運転に関する罰則を強化した規定等を盛り込んだ改正道路交通法が衆議院本会議で可決・成立しました

これまでは、あおり運転で検挙されても青切符を切られるなどの比較的軽い処置で済んでいましたが、これからはそうはいかなくなります。

そこで今回は、厳罰化によって、あおり運転の罰則や違反点数、道路交通法の規定がどう変わったのか、について解説していきたいと思います。

改正前のあおり運転と罰則

改正前の道路交通法には具体的にどんな行為があおり運転なのか定めた規定はありませんでした

つまり、道路交通法ではなく警察の通達で、次の行為をあおり運転として取り締まりの対象とする、としているに過ぎなかったです。

 

ア 前方の車に著しく接近し、前方の車に激しく接近し、もっと速く走るよう挑発する(車間距離保持義務違反)

イ 危険防止を理由としない、不必要な急ブレーキをかける(急ブレーキ禁止違反)

ウ 後方から進行してくる車両等が急ブレーキや急ハンドルで避けなければならなくなるような進路変更を行う(進路変更禁止違反)

エ 左側から追い越す(追い越しの方法違反)

オ 夜間、他の車両の交通を妨げる目的でハイビームを継続する(減光等義務違反)

カ 執拗にクラクションを鳴らす(警音器使用制限違反)

キ 車体を極めて接近させる幅寄せ行為を行う(安全運転義務違反又は初心者運転者等保護義務違反)

 

ちなみに、ア、イ、エ、キ(安全運転義務違反)の罰則は「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」、ウ、オ、キ(初心者運転者等保護義務違反)の罰則は「5万円以下の罰金」、カの罰則は「2万円以下の罰金又は科料」でした。

改正後のあおり運転の罰則など

ところが、今回の改正によって道路交通法の中にあおり運転に関する規定が置かれ、かつ、罰則も設けられました。また、罰則は改正前より格段に重たくなりました。すなわち、改正道路交通法では、次のいずれかの運転をあおり運転とし、それぞれに重たい罰則を設けたのです。

「交通の危険のおそれ」のある妨害運転

この妨害運転は「他の車両等の通行を妨害する目的」で、「次のいずれかの違反行為(10種類)」を行った場合であって、「当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法」による運転と規定されています。

 

【あおり運転にあたる行為】

●前記「ア~キまでの違反」

●「ク 通行区分違反」、「ケ 最低速度違反」、「コ 高速自動車道等駐停車違反」

 

罰則は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です(無免許運転、酒気帯び運転と同じ)。

違反点数は25点で(無免許運転、酒気帯び運転と同じ)、行政処分は最低でも免許取消し(欠格期間2年)です。

「著しい交通の危険を生じさせた」妨害運転

この運転は前記の妨害運転をし、よって高速自動車国道等において他の自動車を停止させその他交通における著しい交通の危険を生じさせた運転と規定されています。

①との決定的な違いは「高速自動車国道等」と場所が限定されていることです。

しかし、高速自動車国道(高速道)は自動車専用道路であり、車のスピードも出ていることから、あおり運転を行うと追突事故など他の交通事故を誘発してしまう危険性が極めて高いといえます。

そのため、罰則は5年以下の懲役又は100万円以下の罰金と前記の妨害運転に比べて格段に重たくなっています(酒酔い運転と同じ)。

違反点数は35点で(酒酔い運転と同じ)、行政処分は免許取消し(欠格期間3年)です。

逮捕されるおそれも!

以上、お分かりいただけたようにあおり運転の罰則は最高でも「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」だったものが改正後は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金あるいは5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と各段に重たくなりました。

また、違反点数や行政処分も相当厳しくなったことがお分かりいただけると思います。

 

加えて、もう一つ着目すべき点は、改正前までは、あおり運転で検挙されても「交通反則通告制度を適用され青切符→反則金→(前科はつかない)」で処理されることが比較的多かったと思います。

他方で、改正後は交通反則通告制度が適用されず、いきなり刑事手続が適用されて、「逮捕→勾留→刑罰(懲役、罰金)→前科」という流れとなる可能性が高くなったということです。

これまでと同様の軽い感覚・ノリであおり運転を行うと逮捕などの不利益を被るおそれがありますから、運転には十分注意しましょう!

なお、改正道路交通法は令和2年6月30日から施行されます。

【追加】あおり運転に関する判例

令和2年12月1日 大分地裁 (全国初の逮捕事案)

違反行為:前記イ、カ (さらに、被害男性の肩や首を引っ張り(暴行)、「包丁で刺すぞ」などと脅している) 

罪名:道路交通法違反(妨害運転罪)、暴行罪、脅迫罪

量刑:懲役2年6月 4年間執行猶予(求刑:懲役2年6月)

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA