不起訴とは?無罪との違いについてもわかりやすく解説

刑事事件において、不起訴とも無罪も「何となく有利な結果」という印象はお持ちではないでしょうか?

では、不起訴とは何で、無罪とどういう点が違うのか、今回は、その点を中心にわかりやすく解説していきたいと思います。

ぜひ最後までご一読いただけると幸いです。

 

不起訴とは

不起訴とは起訴しない、という検察官(※)が行う刑事処分の中の一つの処分のことです。

 

検察官が行う代表的な刑事処分が起訴です。検察官に起訴されると刑事裁判を受けなければなりません。そして、刑事裁判で有罪か無罪か、有罪の場合はいかなる刑罰(死刑、懲役、禁錮、罰金など)、刑の重さ(量刑)を科すのが適当かという点が決められます。有罪か無罪か、有罪である場合の量刑は判決で言い渡されます。そして、有罪の判決(裁判)が確定した場合は前科が付きます。

他方で、不起訴処分を受けた場合は刑事裁判を受ける必要がありません。刑事裁判を受ける必要がないということは、死刑、懲役、禁錮、罰金などの刑罰を受けることがない、すなわち、刑務所に服役するおそれがない、ということを意味しています。また、前科が付くのは有罪であることが前提ですが、不起訴の段階では有罪か無罪かは確定していませんので、不起訴処分を受けると前科も付きません。なお、不起訴処分と無罪の違いについては後ほどわかりやすく解説します

 

※検察官

犯人を追及する側の人。

警察官と同様に被疑者や参考人を取調べるなどの捜査権限のほか、警察官には認められていない起訴、不起訴の権限、刑事裁判における訴訟活動を行う権限なども有しています。

 

不起訴の理由

不起訴には、不起訴とするための理由があります

不起訴理由には、皆さんが普段聞いたことがあるものから、聞いたことがないものまで様々なものがあります。以下では普段よく耳にする「起訴猶予」と「嫌疑不十分」について解説してまいります。なお、実務上は、起訴猶予による不起訴が圧倒的に多いです。

 

まず、「起訴猶予」についてです。

起訴猶予とは、検察官が「犯罪が成立することは明らか」と認めたものの、被疑者に有利な事情が認められるため「起訴して刑罰を科すまでもないな」と判断した場合に付される不起訴理由です。

「犯罪成立→起訴→刑事裁判→刑罰」というのが本来の流れです。しかし、そもそも刑罰の最終目標は犯人の更生と再犯防止ですから、そうした必要がないと認められる人についてまで敢えて起訴する必要はありません(また、全国には数えきれないほどの事件があり、犯罪が成立した事件すべてを起訴しなければならないとすると、刑事裁判を担う裁判所、検察庁、弁護士はパンクしてしまうというのが実情です)。このように犯罪の成立が明白な場合でも、起訴するかしないかの判断を検察官の裁量に委ねる法制度のことを「起訴裁量(便宜)主義」といいます。起訴裁量(便宜)主義は刑事訴訟法246条に規定されています。

 

刑事訴訟法

(起訴裁量(便宜)主義)

第二百四十六条

犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

 

次に「嫌疑不十分」についてです。

嫌疑不十分とは、検察官が「刑事裁判で犯罪の成立を立証するには証拠が足りない、不十分」と判断した場合に付される不起訴理由です。

起訴猶予とは異なり、犯罪が成立することが明白とはいえない場合が嫌疑不十分というわけです。なお、犯罪が成立しないことが明白な場合は「嫌疑なし」という不起訴理由が付されますが、起訴猶予や嫌疑不十分に比べて数は少ないです。

 

不起訴を獲得するためにやるべきこと

実務上は、起訴猶予による不起訴が圧倒的に多いですから、以下では、起訴猶予による不起訴を獲得するためにやるべきことについてご紹介してまいります。

 

ところで、前記の刑事訴訟法246条により、検察官が起訴猶予による不起訴をする際は

  • 犯人の性格
  • 年齢及び境遇
  • 犯罪の軽重
  • 情状(=犯行動機、犯行態様、被害の結果など)
  • 犯罪後の情況

を考慮していることが分かります。

このうち「犯人の性格」から「情状」までは、犯罪を犯してしまった以降やるべきことはないといってよいでしょう。他方で、「犯罪後の情況」についてはやるべきことがあります。

犯罪後の情況とは犯罪後の事情という意味で、その範囲は広いです。たとえば、万引きをした被疑者がお店側に対して被害弁償した、お店側と示談したという事情は「犯罪後の情況」に当たるでしょう。盗撮や痴漢などの性犯罪を犯した被疑者が、再犯防止に向けて性犯罪の治療を受けているという事実も「犯罪後の情況」に当たるでしょう。

 

このように、「犯罪後の情況」の範囲は広いため、不起訴を獲得するためにやるべきことも、犯罪の性質や被疑者個々人の事情によって異なってきます。したがって、不起訴獲得のためにやるべきことも個々の事情に応じて検討する必要があります。もっとも、被害者が存在する犯罪については被害弁償や示談は必要不可欠といっても過言ではありません。

 

不起訴と無罪の違い

不起訴は検察官が判断して行う刑事処分です。また、不起訴は、刑事裁判で有罪か無罪かを決める前の処分ですから、不起訴処分を受けたからといって無罪が決まったわけではありません

他方で、無罪は検察官に起訴された後、裁判官の判断による刑事裁判の結果です。

 

なお、不起訴処分を受けたからといって、起訴されないことを補償されたわけではありません

たとえば、起訴猶予による不起訴処分を受けた場合でも、その後に再犯を犯した場合は不起訴処分となった事件も併せて起訴される可能性は残されています。また、嫌疑不十分による不起訴処分を受けた場合でも、その後に犯罪の成立に必要不可欠な新証拠が発見された場合などは起訴される可能性も否定はできません。こうした事態は稀ですが、少なくとも可能性はあることだけは頭に入れておくべきです。

他方で、無罪判決を受けた場合は、その罪について再度起訴することは許されません

以上の点も、不起訴と無罪の違いといってよいでしょう。

 

まとめ

不起訴処分を受けると、ひとまず刑事裁判、刑罰、前科を受ける心配はなくなります。もっとも、不起訴は無罪と異なり、起訴されないことまでを補償するものではありません。不起訴処分を受けた後、よほどのことが限り、再び逮捕される、起訴される事態は考えられませんが、少なくともこうした可能性があることだけは頭に入れておいてください。

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