被害届が出されても示談で取り下げてもらうことはできる?

被害届を出されたかどうか不安、という方は多いのではないでしょうか?

この記事では、少しでもそうした不安を和らげていただくため、被害届を出された後のことについて、元検察官の法律ライターがわかりやすく解説してまいります。

ぜひ参考にしてみてください。

 

被害届とは

被害届とは、捜査機関に対し被害にあった事実を申告するための書類のことをいいます。

たとえば、窃盗罪(刑法235条)の被害届には、

・いつ(日時)

・どこで(場所)

・どんな方法・態様で

・どんな被害に遭ったのか(被害品、被害品の時価、被害品の所持者・所有者)

・被害を見つけたきっかけ、端緒は何か

などという被害事実が記載されます。

 

被害届を出されたことを警察に確認できる?

被疑者(犯罪を犯したとして罪を疑われている人)が警察に被害者から被害届が出されたかどうか問い合わせても、警察は教えてはくれません。つまり、残念ながら、被疑者が被害届を出されたことを警察に確認することはできません

これは、警察からすれば、「被害届が出されていることを教えてしまうと、被疑者が罪を免れるため、被害者に対して罪証隠滅行為を働きかけるのではないか?」と考えるのが当然であって、そうした事態が起こることは防ぎたいからです。

被疑者が被害届を出されたことを正式に知るのは警察の捜査を受けたときです。

 

被害届を出されたらどうなる?

被害届を出されたら(警察に受理されたら)、警察の捜査を受けます(警察は捜査を始めます)

捜査は、出頭要請、警察署での取調べなどの任意捜査から、捜索・差押え(いわゆる「ガサ」)、逮捕などの強制捜査まで様々です。

どんな捜査をどんなタイミングで打たれるかは、被疑者側で予想することはできません。

 

なお、通常逮捕の要件は「逮捕の理由」と「逮捕の必要」です。

逮捕の理由とは、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があることをいいます。

逮捕の必要とは、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがあることをいいます。逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがあるかどうかは、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情を考慮して判断されます。

事件を起こしてしまった後、逮捕の理由については対策を打つことはできませんが、逮捕の必要については対策を打つことができます

たとえば、一人暮らしの方であれば、親と同居すること、無職の方であれば定職に就くことで逃亡のおそれを下げることができます。

また、被害者と同居している場合は別居すること、被害者の連絡先を知っているのであれば、現在の通信契約を解約することなどで罪証隠滅のおそれを下げることができます。

 

被害届を出されても示談を取り下げてもらうことはできる?

被害届を出されても示談が成立すれば、被害届を取り下げてもらうことは可能です。

被害届を取り下げてもらうと、その先どうなるか?については、事件が今どの段階にあるのか(警察にあるのか、警察から検察に送致されて検察にあるのか)、被疑者が今、どんな状況にいるかで異なります。

事件が警察にあるという段階では、捜査は終了し、事件が検察へ送致されない(不送致)という結果に終わります。

事件が検察にあるという段階では検察官の起訴猶予による不起訴処分を受けるでしょう。不起訴となれば、刑事裁判を受ける必要はありませんし、懲役、罰金などの刑罰を受けることはありません。もちろん、前科も付きません。

逮捕、勾留された場合(身柄拘束を受けた場合)は早期釈放されます。また、事件の処分は上記同様に不起訴となるでしょう。

 

このように被害届の取り下げによるメリットは大きいですが、これはあくまで示談が成立すればの話です。

示談を成立させるには、弁護士に示談交渉を依頼した方がよいです。

逮捕、勾留された場合は(国選、私選の)弁護士に依頼するほかありません。

また、逮捕、勾留されず在宅のまま捜査が進められ、物理的に当事者同士の示談交渉が可能であったとしても、事件後に被害者と接触するのは避けたほうがよいです。被害者と接触してしまうと、罪証隠滅行為を図ろうとしているのではないかと疑われ、逮捕のきっかけを作ってしまうことになりかねません。

さらに、被害者の連絡先を知らず、被害者への接触を試みることすらできないという場合もあります。その場合は、捜査機関を通して被害者の連絡先を取得するしかありませんが、警察が被疑者に直接被害者の連絡先を教えることはしません。したがって、弁護士の力を借りるしかないというわけです。

 

まとめ

被害届を出されたこと自体を知ることはできません。しかし、出されたときのために事前にとっておくべき対策や出された後にやれることはあります。被る不利益を最小化するためには、早め早めに弁護士に相談しておくことが大切です。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA