法律ライターがわかりやすく解説~自己破産の「免責不許可事由」とは?

新型コロナの影響で自己破産する個人、法人が増えているようです。そこで、今回は自己破産の

 

免責不許可事由

 

について解説したいと思います。

 

免責不許可事由とは

免責とは、要するに、借金がチャラになることです。その免責を許可するか、不許可とするのかを判断するのは自己破産手続を申し立てた先の裁判所です。つまり、免責不許可事由とは、

 

裁判所が借金をチャラにすることを不許可とするための事由(理由)

 

ということになります。

免責不許可事由の種類

免責不許可事由については「破産法」という法律の第252条第1項の1号から11号に規定されています。つまり、免責不許可事由は11個あるということになります。1号から11号にあたる具体的な行為の例は以下のとおりです。

1号(不当な破産財団価値減少行為)

・預金を自身の口座から他人の口座へ移す

・不動産の名義(登記)を他人に移転する

・車の名義を変更する など

2号(不当な債務負担行為)

・ヤミ金から借金をする

・クレジットカードで商品を購入し、商品を売却する など

3号(不当な偏頗行為)

・特定の債権者に対して、他の債権者に優先して借金を返済する など

4号(浪費または賭博その他の射幸行為)

・浪費又はギャンブル、株・FXなどで過大な借金をしたこと など

5号(詐術による信用取引)

・借金を完済できないことを知りながら、年収等を誤魔化して金融機関から新たに借金をしていたこと(ただし、破産手続開始の申立ての1年前から破産手続開始決定があった日までの間)

6号(業務帳簿等隠匿等の行為)

・出納帳、決算書、確定申告書などの業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅、偽造、変造したこと

7号(虚偽の債権者名簿提出行為)

・虚偽の債権者名簿(債務者が破産手続開始の申立てする際に裁判所に対して提出しなければならない(破産法20条2項)債権者の一覧表)を提出したこと

8号(裁判所への説明拒絶・虚偽説明)

・破産管財人(※)等が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと

※破産管財人:破産債務者(裁判所から破産手続開始決定を受けた債務者)の財産を調査、管理、処分する権限を有する人(弁護士)。裁判所が選任します。

9号(管財業務妨害)

・不正の手段により破産管財人等の職務を妨害したこと

10号(7年以内の免責取得等)

次の日から7年以内に免責許可の申し立てをしたこと

・自己破産での免責許可決定の確定の日

・個人再生(給与取得者等再生)での再生計画認可の決定の確定の日 など

11号(破産法上の義務違反行為)

・裁判所や破産管財人から求められる調査に非協力的であること

 

免責不許可事由に該当しても免責される免責裁量

免責不許可事由に該当すると直ちに免責されない、すなわち借金がチャラにならないか、といえばそうではありません。すなわち、免責不許可事由に該当する場合であっても、裁判所が破産手続開始の決定に至った経緯その他の一切の事情を考慮して免責を許可することが相当である認める場合には、免責許可される、すなわち借金がチャラになることがあるのです(破産法252条2項)。この裁判所の裁量による免責許可のことを裁量免責といいます。

よく、ギャンブルで多額の借金をしてしまったため免責を諦める人がいますが、そうした方であっても実は多くの方がこの裁量免責により免責許可を得ているのが実情のようです。もっとも、裁量免責による免責許可をするのは裁判所ですから、裁判所に与える心証が悪ければ悪いほど免責許可を得ることは難しくなることは心得ておくべきです。そこで、免責裁量による免責許可を得るためには、裁判所の心証に直結するような裁判所の手続きに不誠実な態度(たとえば、免責不許可事由の7号~9号、11号の行為)を取ることだけは厳に避けなければなりません

まとめ

免責不許可事由に当たる場合でも裁量免責により免責許可を得ることができます。もっとも、裁判所の心証を悪くするような行為を取ることだけは厳に慎まなければなりません。すなわち、裁判所や破産管財人等から求められることに対してはあくまでも誠実に対応することがとても大切といえます

以上

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