自転車保険の義務化とは?入り方などについても解説

自転車保険の義務化の流れが全国的に進んでいます。

車に関する任意保険でもなければ自賠責保険でもない自転車保険とはいった何なのでしょうか?

元検察官の法律ライターがわかりやすく解説してまいります。

ぜひ最後までご一読いただき、参考にしていただけると幸いです。

 

自転車保険の義務化とは?

自転車保険の義務化とは、全国の自治体(都道県単位あるいは市区町村単位)の条例により自転車保険への加入が義務付けられているこをいいます。

もっとも、2020年(令和2年)10月1現在で、自転車保険への加入を義務付けている自治体は、

北から

 

山形県、仙台市、埼玉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県、長野県、名古屋市、金沢市、滋賀県、奈良県、京都府、大阪府、兵庫県、愛媛県、福岡県、鹿児島県

 

で、すべての自治体で自転車保険への加入が義務付けられているわけではありません

なお、自転車保険の義務化といっても、条例に、自転車保険未加入に対する罰則が設けられているわけではありません

この点が、加入していなかった場合に罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が科される自賠責保険(自動車保険の強制保険)と異なります。

 

自転車保険の義務化の背景は?

自転車保険の義務化される最も大きな理由は「被害者(あるいはその遺族)の保護」と「加害者側の経済的負担の軽減」です。

自転車も車と同様に「走る凶器」です。

したがって、自転車事故においても交通事故の場合と同様、被害者に重傷を負わせたり、被害者を死亡させるなどの重大事故へと発展する可能性があります

こうしたケースでは、場合によっては、加害者に対して億単位近い高額な損害賠償責任を課される可能性があります(※)。

しかし、億単位近いお金など、通常の人では一生かかっても支払えない金額です。

そのため、損害賠償金を受け取る側の被害者(あるいはその遺族)からすれば「払ってもらうべきものも払ってもらえない」状態となるおそれがあります。

一方で、損害賠償金を支払うべき側の加害者やそのご家族からすれば、一生をかけて損害賠償金を支払わなければならない事態へと陥る可能性があります。

こうした事態は被害者側にとっても加害者側にとっても不幸なことです。

そこで考えられたのが、自転車保険への義務化という制度というわけです。

 

※自転車事故で高額な賠償金の支払いが命じられた判例 

最も有名な判例が「神戸地方裁判所 平成25年7月4日」です。

この判例の事案は「男児(自転車事故当時12歳)が夜間、スイミングスクールから自宅へ帰宅するため、時速約20キロメートル~約30キロメートルの速度で自転車を運転して下り坂を下っていたところ、前方を歩いていた女性(自転車事故当時62歳)に正面から衝突し、女性を地面に転倒させるなどして急性硬膜下血腫、脳挫傷、頭蓋骨骨折等の重傷を負わせ、以後、植物状態(自賠責保険の後遺障害等級(介護を要する場合の後遺障害等級)1の1)とさせた」というものでした。

この判例では、直接の加害者である男児に対してではなく、男児の監督義務を負うと認定された母親9520万円(概算)もの賠償金の支払いが命じられたという点で大きな注目を集めました。また、この判決を受けて、兵庫県が全国で初めて自転車保険への加入を義務付ける条例を制定しました。

 

自転車保険とは?入り方は?

自転車保険とは、自転車の利用中に、自転車事故によって他人の生命又は身体の損害(※)を担保するための保険等のことをいいます。

自転車保険に加入する義務のある人は

 

【自転車保険に加入義務のある人】

  • 自転車利用者(自転車を利用する人)
  • 保護者(児童等(18歳に達する以後の最初の3月31日までにある者)を保護する責任のある人)
  • 事業者(事業を営む個人又は法人その他の団体)
  • 自転車貸付業者(自転車を反復継続して貸し付ける事業者)

 

です。

もっとも、他の者が当該自転車事故に適用される自転車保険に加入している場合は、当然ながら加入義務は免除されます。

 

ところで、各保険会社等が販売している自転車保険は「自転車保険」ではなく、むしろ「傷害保険」などという名称となっている場合が多いです。

ただ、名称はともかく、自転車保険の内容が自転車事故によって他人の生命又は身体の損害から生じる損害金をカバーしてくれる保険(個人賠償責任保険ともいいます)であれば問題ありません。

個人賠償責任保険であることを確認できたら、後は、

 

  • 賠償金をいくらまでカバーできるのか
  • 誰を保険の対象とするか
  • 自転車利用者(加害者)の怪我についても保険金が下りる内容か
  • オプション(保険会社の示談交渉サービス、を付けるか

 

などを検討しましょう。上記の内容によって月々の保険料が変わります。

なお、自転車保険に加入する義務がある場合でも、あらためて自転車保険に加入する必要がない場合もあります

というのも、すでにご加入されている「自動車保険」、「火災保険」、「傷害保険」などに自転車保険に相当する内容の特約が付いている場合があるからです。

したがって、自転車保険に加入する前に、ご自身が現在加入されている保険で自転車保険に相当する内容の特約が付いていないか付いているとして補償は十分かどうかなどを確認することが、自転車保険に加入するかどうか検討する際の第一歩となります。

 

まとめ

自転車保険の加入義務化は全国的な流れといってもよいでしょう。現段階で義務化されていない自治体でも、いずれは義務化される可能性が高いです。すでに義務化されている自治体にお住いの方は早急に自転車保険への加入の手続きを進める必要があります。また、義務化されていない自治体にお住いの方も、今のうちから自転車保険への加入の準備を始めてみてはいかがでしょうか。

 

 

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