自転車事故で犯罪になる?問われる罪や罰則などについて解説

自転車事故でも犯罪となる場合があります。

自転車は気軽に乗れて便利ですが、一歩間違えば、重大な結果を招きかねない危険な乗物です。

この記事では、自転車事故を起こしたら問われる罪や罰則などについて、元検察官の法律ライターが解説してまいります

ぜひ最後までご一読いただけると幸いです。

 

自転車事故を起こした際に問われる主な罪

自転車事故を起こした際に問われる主な罪

 

  • 過失傷害罪(刑法209条)
  • 過失致死罪(刑法210条)
  • 重過失致死傷罪(刑法211条後段)

 

です。なお、いずれの罪も自転車事故に限って適用される罪ではありません。

過失傷害罪(刑法209条)

過失傷害罪は刑法209条に規定されている罪です。

過失傷害罪は自転車事故によって人に怪我を負わせた場合に問われ得る罪です。

 

(過失傷害)

第二百九条

1 過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。

2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

 

以上から、過失傷害罪は

①「過失」によって自転車事故を起こしたこと

②人に傷害(ケガ、後遺症)を負わせたこと

③①と②との間に因果関係が認められること(「よって」の部分)

という要件を満たした場合に成立する罪ということが分かります。

 

このうち①の「過失」とは、自転車の運転者として守るべきことを怠った(注意義務違反)、という意味です。

たとえば、見通しの悪い交差点では、交差点手前で一時停止するか、交差点に入る前から徐行して、交差点の左右から進行してくる車や歩行者などがいないかどうか確認すべき、といえます。

しかし、こうした注意義務を果たさないことが注意義務違反、すなわち、過失ということです。

 

なお、過失とよく似た言葉として「過失割合」があります。

確かに、過失という点では同じですが、両者はまったく異なる場面で使われます。

まずは、過失は刑事事件(刑事責任)で、過失割合は民事事件(民事責任)で使われる、といった感じで使い分けていただければOKです。

過失割合については、「交通事故」の記事であらためて解説いたします。

 

過失傷害罪は他の2つの罪と異なり、親告罪といって、被害者の告訴がなければ起訴されない罪です。

過失致死罪(刑法210条)

過失致死罪は刑法210条に規定されている罪です。

過失致死罪は自転車事故によって人を死亡させた場合に問われ得る罪です。

 

(過失致死)

第二百十条 過失により人を死亡させた者は、五十万円以下の罰金に処する。

 

過失致死罪の成立要件と過失傷害罪の成立要件は結果(死亡か傷害か)が異なるだけで、ほかは同じです。

その他、異なる点は、過失致死罪の方が、罰則が重たい点、過失致死罪は親告罪ではない点です。

 

重過失致死傷罪(刑法211条後段)

重過失致死傷罪は刑法211条後段に規定されています。

 

(業務上過失致死傷等)

第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

 

「重大な過失~」以下が重過失致死傷罪に関する規定です。

重過失によって人に傷害を負わせた場合が重過失致傷罪、人を死亡させた場合が重過失致死罪です。

過失傷害罪や過失致死罪と異なる点は「重過失」と「罰則」です。

重過失とは過失の程度が重たいこと、すなわち著しい注意義務違反があることです

ほんの少しの注意を払っていれば回避できたのに、というケースが重過失と言い換えてもよいかもしれません。

そのため、

 

  • スマートフォンを使用中の自転車事故
  • イヤホンを耳に差し、大音量で音楽を聴きながらの自転車事故
  • 傘さし運転中の自転車事故
  • 車道の右側通行時の自転車事故
  • 徐行せずに歩道を走っていた際の自転車事故
  • 夜間、無灯火運転中の自転車事故

 

などの場合は重過失致死傷罪に問われる可能性が高いと考えてください。

重過失致死傷罪は過失の程度が重たいため、過失傷害罪、過失致死罪と異なり、懲役刑、禁錮刑が設けられ、かつ、罰金も上限が100万円と重たくなっていることがお分かりいただけると思います。

 

自転車事故とひき逃げ

自転車事故を起こした後にひき逃げした場合は道路交通法上の罪に問われる可能性があります

実は、ひき逃げという罪はなく、ひき逃げとは以下の違反行為をした場合をいいます

 

【ひき逃げの違反行為】

①停止義務違反・救護義務違反→自転車を直ちに停止せず、人を救護しなかった

②道路上の危険防止措置義務違反→人や自転車を安全な場所に移動させなかったなど

③警察官に対する事故報告義務違反→110番通報しなかった

 

なお、自転車同士や自転車VS車の自転車事故の場合、どちらが加害者でどちらが被害者か分からないという場合も多いです。

したがって、自転車事故直後は(のちに判明する加害者か被害者かにかかわらず)救護できる方が救護する、という姿勢でいた方がよいです。

①・②に対する罰則は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です(道路交通法117条の5第1号、同法72条前段)。また、③に対する罰則は「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」です(同法119条1項10号、同法72条後段)。

なお、ひき逃げしたという場合①・②・③の違反を同時に犯すことが多いです。

その場合、罰則は観念的競合という処理となり、①・②の罰則を基準に量刑が決まります(刑法54条前段)。

また、たとえば、重過失致死傷罪とひき逃げの罪を同時に問われた場合は両者は併合罪となり、懲役については6年以下、罰金については110万円以下の範囲で量刑が決まります(刑法45条、48条2項)。

 

まとめ

自転車事故であっても懲役、禁錮、罰金などの刑事責任に問われることがあります。

また、刑事責任のほか民事責任にも問われます。民事責任では高額な賠償責任を負わされる可能性もあります。そうしたリスクに備えた自動車保険についてはこちら「自転車保険の義務化とは?入り方などについても解説」の記事も参考にしてみてください。

 

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