【元検察官が解説】国選弁護人はいつから選ばれる?請求できる条件も解説

私選弁護人はいつでも選ぶことができますが、国選弁護人はいつから選ばれ活動してくれるのかご存知でしょうか?

「国選弁護人といえば無料で利用できる弁護士」というイメージばかりが先行してしまい、上記のことはあまりよく知られていません。

そこで、本記事では、身柄事件と在宅事件に分けて、国選弁護人がいつから選ばれるのか、活動してくれるのか、ということを中心に詳しく解説します。

 

国選弁護人とは

国選弁護人とは、ご自分ではなく、裁判所(国)によって選ばれる弁護人のことです。

ご自分で選ぶ弁護人は私選弁護人といいます。

なお、選ばれた後の弁護士のことを「弁護人」といいます。

国選弁護人と私選弁護人の違いについては以下の記事もご参照ください。

 

参考:国選弁護人とは?私選弁護人との違いについても詳しく解説

 

国選弁護人には被疑者国選弁護人と被告人国選弁護人の2種類があります。

被疑者国選弁護人とは、文字通り、被疑者(マスコミでは「容疑者」と言われています)に選ばれる国選弁護人です。これに対して、被告人国選弁護人は、被告人(起訴された容疑者で、刑事裁判を受ける人)に選ばれる国選弁護人です。

 

被疑者国選弁護人は身柄事件で選ばれる国選弁護人です。つまり、在宅事件では国選弁護人を選ばれません。他方で、被告人国選弁護人は身柄事件、在宅事件いずれの場合でも選ばれます。身柄、在宅にかかわらず、刑事裁判では弁護士のサポートが必要不可欠だからです。

 

なお、勾留決定後に国選弁護人が選ばれ、その後、起訴されて被告人となった場合は、通常、勾留決定後に選ばれた国選弁護人が被告人の国選弁護を担当します。

 

国選弁護人はいつから選ばれる?

国選弁護人がいつ選ばれるかについては、被疑者国選弁護人(身柄事件の場合)被告人国選弁護人(在宅事件の場合)に分けて解説します。

被疑者国選弁護人の場合(身柄事件の場合)

被疑者国選弁護人は勾留決定が出た後に選ばれます。

 

勾留決定が出るまでの大まかな流れは以下のとおりです。

 

①逮捕

②送検

③勾留請求

④勾留決定(勾留)

⑤国選弁護人、選任

 

警察に逮捕(①)されると、まず、警察官から逮捕事実について言い分を聴く手続き(弁解録取)を受けます。言い分を聴くといっても、あなたの言い分に耳を傾けるという感じではなく、追及、つまり、取調べと同様です。その後、警察官が身柄拘束を必要と判断した場合は、逮捕から48時間以内に送検されます(②)。

送検後は、検察官の弁解録取を受け、検察官が身柄拘束を必要と判断した場合には、送検から24時間以内に勾留請求されます(③)。勾留請求とは「まず10日間、身柄を拘束したいです」という検察官の裁判官に対する意思表示です。

検察官の勾留請求を受けた裁判官は、被疑者から話を聴いた上で(勾留質問といいます)、勾留の要件(※)を満たしていると判断した場合は、勾留決定を出します(④)。

 

被疑者国選弁護人が選ばれるのは、この勾留決定が出た後です

つまり、①から④までの約3日間は、国選弁護人は接見などの活動をしてくれません

①から④の間に「弁護士と接見したい」という方は、逮捕後どの段階でもよいので、警察官に「弁護士と接見をしたい」と申し出ることです。警察官に申し出たら、警察官から「当番(弁護士)にする?」、「それとも知っている弁護士いる?」と言われます。特に、知っている弁護士がいない場合は、当番弁護士に接見に来てもらうよう申し出ます。当番弁護士は1回限り、無料で接見してくれますが、その当番弁護士に刑事弁護を依頼しない限り、接見後の刑事弁護活動は行ってくれません

被告人国選弁護人の場合(在宅事件の場合)

前述のとおり、身柄事件では、通常、被疑者国選弁護人だった弁護人がそのまま被告人国選弁護人となりますので、あらためて選任手続きは行われません。

他方で、在宅事件で起訴された場合は、起訴後にはじめて国選弁護人が選任されます。在宅事件の被告人国選弁護人が選ばれるまでの流れについては以下の記事が詳しいため、こちらをご参照ください。

 

参考:国選弁護人を選任できる条件や流れ【在宅事件】について解説

 

国選弁護人を請求できる条件

国選弁護人を請求できる条件は被疑者国選弁護人(身柄事件の場合)在宅国選弁護人(在宅事件の場合)で異なります。

被疑者国選弁護人の場合(身柄事件の場合)

被疑者国選弁護人は、

 

  • 資力(現金、預金など)が50万円未満であること
  • 資力申告書を提出すること

 

が請求できる条件です。

国選弁護人請求書・資力申告書」という書面に必要事項を記入して、資力が50万円未満であることを証明しなければなりません。

警察官の弁解録取のときに「国選弁護人にする?私選弁護人にする?」ということを聴かれますので、国選弁護人を希望した場合は留置場の係から上記の書類を渡されます。その後は、書類に必要事項を記入して係に渡せば、係が裁判所に書類を提出してくれます。

なお、書類に虚偽事項を記載した場合は「10万円以下の過料」に処せられることもありますので注意してください。

被告人国選弁護人の場合(在宅事件の場合)

被告人国選弁護人は、事件の性質によって請求できる条件が異なります。

すなわち、起訴された罪の事件が

 

死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件

 

の場合は無条件で国選弁護人が選ばれます

上記の事件のことを、刑事裁判を開くには必ず国選弁護人が必要だという意味で必要的国選弁護事件といいます。

 

他方で、上記以外の事件のことを任意的国選弁護事件といいます。任意的国選弁護事件の場合は、被疑者国選弁護人の場合と請求の条件は同じです。裁判所から送られてくる「弁護人選任に関する回答書」の「2」の「⑴」の「□国選弁護人の選任を請求する」、「□ア 貧困のため」にチェックを入れ、「資力申告書」に必要事項を記入して裁判所へ返送します。虚偽事項を記入した場合に「10万円以下の過料」に処せられる可能性があることは被疑者国選弁護人の場合と同様です。詳細は以下の記事をご参照ください。

参考:国選弁護人を選任できる条件や流れ【在宅事件】について解説

 

まとめ

身柄事件の国選弁護人は勾留決定後、在宅事件の国選弁護人は起訴された後に選ばれます。身柄事件の国選弁護人は勾留決定後にしか選ばれません。つまり、逮捕→勾留までの約3日間は活動してくれませんので注意が必要です。また、在宅事件の場合は起訴されるまでは国選弁護人は選ばれません。

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