交通事故の過失割合が10対0となる典型的ケースや注意点について解説

交通事故の被害に遭ったあなたは、「自分としては過失割合「0」だと思うのだけど、加害者の保険会社から1割、2割の過失割合を主張されて納得がいかない」と考えていませんか?

交通事故では被害者にも一定の過失割合を認められる場合の方が多いですが、中には被害者の過失割合が「0」となる交通事故もあります

本記事では、交通事故の過失割合が10対0になる主なケースや注意点過失割合に納得がいかない場合の対処法について詳しく解説してまいります。

過失割合や過失割合の決め方については以下の記事で解説しています。

参考:交通事故の過失割合は誰が、いつ決める決め方についても解説

 

交通事故の過失割合が10対0になる主なケース

以下では、交通事故の過失割合が10対0になる主なケースとして「車対車」、「歩行者対車」、「自転車対車」、「歩行者対自転車」の4つのパターンに分けて解説してまいります。

車対車

車対車では次の3つのケースを挙げることができます。

追突事故に遭った場合

たとえば、信号待ちで停止していたところ、後方の車に追突された、という場合です。

もっとも、追突事故であるからといって常に10対0になるとは限りません。たとえば、被害者が不必要な急ブレーキをかけたために追突されたような場合は、被害者にも3割前後の過失割合が認められてしまいます。

被害者が「青」、加害者が「赤」で交差点に進入した場合

信号機のある交差点で、被害者が青色信号、加害者が赤色信号時に交差点に進入し衝突した、という場合です。

被害者に過失割合が認められるのは、法定速度、指定速度を大幅に超えて交差点に進入した場合など極めて稀な場合に限定されます。

加害者がセンターラインを超えて自車線上に進入していた場合

つまり、加害者のセンターラインオーバーによる衝突事故の場合です。

被害者に過失割合が認められるのは、被害者にわき見運転やスマートフォンの操作があった場合など極めて稀な場合に限定されます。

歩行者対車

歩行者対車では次の2つのケースを挙げることができます。

歩行者が「青」で横断歩道を横断開始した場合

まず、歩行者が「青」で横断を開始し、車が右方又は左方から「赤」で交差点に進入してきた、という場合です。歩行者が「青」で横断開始した以上、途中で「赤」に変わった場合でも同様です。

次に、歩行者が「青」で横断を開始し、車が交差点を右折又は左折してきた、という場合でも、被害者の過失割合は「0」、加害者の過失割合は「10」です。

なお、あくまで歩行者の横断開始時に「青」であることが必要で、横断開始時に「黄」だった場合は1割~3割、「赤」だった場合は2割~5割の過失割合が認められてしまいます

歩行者が(信号機のない)横断歩道を横断していた場合

上のケースは歩行者が信号機のある横断歩道を歩行していた場合ですが、信号機のない横断歩道を横断していた場合でも、基本的に、歩行者の過失割合は「0」です。

もっとも、修正要素(※)によって歩行者にも一定の過失割合が認められてしまうことがあります

なお、歩行者が横断歩道上ではなく、横断歩道から1m~2m付近を横断している場合でも、横断歩道上を横断していた場合と同様に扱われます。

 

※修正要素

交通事故状況の個別具体的な事情を加味して、基準となる過失割合を修正する要素のこと。

夜間(日没から日の出まで)、児童・高齢者、住宅街・商店街などの要素があります。

自転車対車

自転車対車では次の2つのケースを挙げることができます。

交差点を自転車が直進、車がその後方から自転車を追い越し左折して衝突した場合

いわゆる、車の無理な追い越し、巻き込み事故と言われるものです。

なお、同じ巻き込み事故でも、自転車よりも車が先行し、車が左折したところ後方から進行してきた自転車と衝突したという場合は、自転車に1割の過失割合が認められます

自転車が「青」で自転車横断帯、横断歩道を横断開始した場合

前述した歩行者の場合と同様ですが、青点滅、赤で横断開始した場合は1割~5割の過失割合が認められてしまいます。

歩行者対自転車

歩行者対自転車では次の2つのケースを挙げることができます。

歩行者が歩道を歩いている際に事故に遭った場合

歩道を歩いている際、前方又は後方から来た自転車に衝突された場合、歩道外から歩道に進入してくる自転車に衝突された場合などです。

歩道は歩行者が安心して歩行できるように設けられているわけですから、歩行者保護や優先です。

仮に修正要素が認められても、その程度は0.5割~1割と軽微です。

歩行者が横断歩道上を歩いている場合

前述した歩行者対車と考え方は同じです(自転車は車と同様に「車両」の一部です)。

交差点に信号機がある場合は、歩行者が「青」で横断を開始した場合に、信号機がない場合でも、基本的に歩行者の過失割合は「0」です。

また、横断歩道を横断している自転車に衝突された場合も同様です。

 

交通事故の過失割合が10対0の場合の注意点

交通事故の過失割合について10対0を主張する場合でも、次の点に注意する必要があります。

(被害者の)保険会社が加害者側と示談交渉してくれない

まず、被害者の過失割合が「0」の場合は、被害者の保険会社が示談交渉することができません

つまり、この場合、ご自身で加害者や加害者の保険会社の担当者と交渉しなければならないということです。

本来、報酬を得る目的で、「他人の事務」の代理人として示談交渉することは弁護士法(72条)の非弁行為に当たり違法です。しかしながら、保険会社が保険金(示談金、賠償金)を支払う立場に

ある場合は、「自己の事務」にあたることから、保険会社が示談交渉することは非弁行為に当たらず適法だと解されています。

したがって、保険会社が保険金を支払う立場にない過失割合が「0」の場合は示談交渉することができないというわけです。

加害者の保険会社から過失割合を主張される

被害者がいくら「自分の過失割合は0だ」と思っても、加害者の保険会社の担当者から一定の過失割合を主張されることもあります

この場合、被害者が保険会社の担当者の主張に対抗するためには、交通事故状況をきちんと把握し、交通事故に関する正確な知識を基に交渉する力が必要となります。また、場合によっては実況見分調書などの証拠を集めて精査し、その証拠を基に過失割合が「0」であることを証明する必要があります。

しかし、こうしたことはどれも専門的なものばかりですから、被害者が、上記のことを怪我の治療や日常生活と並行して行うことは精神的にも大きな負担となることでしょう。

 

交通事故の過失割合に納得がいかない場合の対処法

加害者が任意保険に加入している場合、交通事故の過失割合は、加害者の保険会社から提示されます。そして、保険会社の担当者から過失割合を提示されるタイミングは、損害額が確定した段階(示談交渉ができる状態になった段階)です。すなわち、物損の場合は車の修理等が終わった段階、人損の場合は怪我の治療が終わった段階(後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定申請の結果が出た後)ということになります。

 

もっとも、ここで保険会社から提示された過失割合に納得がいかない場合は、相手にその旨伝え、絶対に示談してはいけません。なお、怪我の治療が長引く場合は、人損の示談交渉より物損の示談交渉が先行することが多いですが、理論上は、物損で取り決めた過失割合がそのまま人損の過失割合となってしまうため、たとえ物損の示談交渉といえども示談してはいけません。

 

その後の対処法については以下の記事で詳しく解説しています。

経済的に弁護士費用を支払う余裕のある方は、交通事故直後から「弁護士に依頼するのも一つの方法です。また、ご自身の任意保険に「弁護士費用特約」を付けている場合は、実質無料で弁護士に依頼できる可能性があります。弁護士費用特約を付けていない場合でも、法テラスの民事扶助制度を利用できれば、弁護士費用を安く抑えることが可能です。

また、片側賠償ADR民事調停は弁護士に依頼せずとも、ご自身でも行える手続きです。ぜひ、ご検討ください。

 

参考:交通事故の過失割合でもめる5つのパターンと対処法を詳しく解説

参考:交通事故紛争処理センター|利用条件やメリット・デメリットを解説

参考:弁護士費用特約を使える家族の範囲は?使える、使えないケースも解説

 

まとめ

交通事故では被害者にも一定の過失割合を認められてしまうことが多いですが、中には被害者の過失割合が0の「10対0」のケースもあります。仮に、交通事故の過失割合に納得がいかない場合は、はやめに弁護士等に相談しましょう。

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