交通事故で裁判する前に考えたいメリット・デメリットやその他の方法

交通事故で納得がいかないことがあった場合、何がなんでも「裁判」と考える方も多いのではないでしょうか?

確かに、裁判することには一定のメリットはありますが、その反面、デメリットもあります。交通事故の解決手段は、何も示談や裁判だけではありません

本記事では、交通事故で裁判するメリット・デメリットを解説した上で、裁判以外の解決法についても詳しく解説していきたいと思います。

 

交通事故で裁判するメリット

まず、交通事故で裁判するメリットから解説します。

相手方の合意なく、主張を実現させることができる

たとえば、過失割合に納得がいかない事案で、あなたが過失割合は0割だと主張し、相手方が3割と主張しても、裁判官が0割だと判断すれば、あなたの過失割合は0割になるということです。

他方で、示談を成立させるためには、一定程度、相手方に譲歩しなければなりませんから、ご自身の主張をすべて貫き通すことは不可能に近いといえます。

なお、交通事故裁判の多くは、裁判官に和解勧告され和解によって解決されており、この和解でも一定の譲歩が必要である点に注意が必要です。

賠償金が高額となりやすい

裁判では、裁判所基準という慰謝料算定基準(※)の中では最も慰謝料が高額となり得る基準を用いて慰謝料が算定されるため、相手方に請求できる賠償金が高額となる可能性があります

他方で、示談の段階では、弁護士に交渉を依頼しない限り、裁判所基準よりも低い自賠責基準あるいは任意保険基準で慰謝料を算定されてしまいます。その結果、請求できる金額も裁判よりかは低くなる可能性があります

 

※慰謝料算定基準

交通事故の入通院(傷害)慰謝料、後遺障害慰謝料の算定基準のこと。

自賠責基準、任意保険基準、裁判所(弁護士)基準があり、右に行けばいくほど基準(=慰謝料)は高くなります。

 

弁護士費用・訴訟費用の一部、遅延損害金の負担を求めることができる

裁判では、弁護士費用の一部、遅延損害金(※)を相手方に請求することが可能です。また、判決に至り、相手方が全面敗訴の場合は、通常、相手方が訴訟費用(※)を負担し、一部勝訴の場合は請求額の認容度に応じて負担額を命じられます。

もっとも、裁判官から和解勧告される際も弁護士費用の一部や遅延損害金まで実質的に含めた形で賠償金が提示されることも多いです。そのため、仮に和解を蹴って判決に至ったとしても結論は和解した場合と同じとなることも考えられます。また、和解した場合は、和解条項に「訴訟費用は各自の負担とする」という文言を入れ、相手方に負担を求めないことが通常です。

 

※遅延損害金

賠償金の支払いを怠ったことにより発生した損害を賠償するためのお金。

交通事故の場合、交通事故日から発生します。

※訴訟費用

裁判を提起、遂行する際に発生する費用。

提起する際は、手数料(印紙代)、郵便切手代が発生します。裁判中は、証人、鑑定人を法廷で尋問する際の日当費、交通費が発生します。

財産を差し押さえることが可能となる

加害者に賠償金を請求できるとしても、加害者が賠償金を確実に払ってくれるとは限りません。

この点、加害者が賠償金を払わない場合は、裁判で判決まで至った場合は判決書を、和解した場合は和解調書を債務名義として、加害者の財産を差し押さえる手続きを取ることが可能となります。

もっとも、加害者が任意保険に加入しており保険会社が相手方となる場合は、賠償金の不払いのリスクはほぼないといえます。また、後述する民事調停で作成される調停調書にも判決書、和解調書と同様の強制力があります。

 

交通事故で裁判するデメリット

次に、交通事故で裁判するデメリットです。

費用や時間がかかる

裁判を提起するには、少なくとも「訴訟費用」の一部である「手数料(訴状に貼付する印紙代)」と「郵便切手代(5,000円前後)」がかかります。手数料は請求金額が高くなればなるほど高くなります。

 

参考:手数料額早見表|裁判所

 

また、裁判を遂行するには交通事故はもちろん、民事訴訟に関する知識・経験を身に着けていることが必須といえます。そのため、裁判を遂行するには弁護士に依頼するほかないといえますが、依頼した場合は「弁護士費用」が発生します。

さらに、訴訟提起から和解、判決までに至る時間も短くて半年、長くて1年以上、場合によっては2年以上かかることもあります。判決に至っても控訴する、控訴されるとなればそれ以上の期間を要することになります。

満足のいく結果が得られるとは限らない

裁判を提起したからといって、必ずしもあなたの思い通りの結果が得られるとは限りません。

裁判を提起された相手方も敗訴しまいと必死に争ってくる可能性があります。その結果、あなたの満足のいくような結果を得られなくなることも覚悟しておかなければなりません。

裁判を提起する前に、どれだけ満足のいく結果を得られる見込みがあるのか、費用対効果はあるのかどうか、しっかり見極めることが大切といえます。

 

裁判以外の解決法

前述のとおり、交通事故で裁判を提起するとなると費用や時間がかかり、怪我の治療で苦しんでいる被害者やそのご家族にとっては大きな負担です。そのため、可能であれば、裁判に至る前に、納得のいく形で解決に至ることが望ましいといえます。以下では、裁判以外の解決法についてご紹介してまいります。

日弁連交通事故相談センターの示談あっ旋、審査を活用する

日弁連交通事故相談センターは、昭和42年に日本弁護士連合会が設立した公益財団法人です。

センターでは、専門の弁護士による無料法律相談(1回30分程度、原則として1事案につき5回まで)のほか、相手方との示談のあっ旋、審査(※)も受け付けています。

受け付けている法律相談は「賠償金の金額」、「賠償金の請求方法」、「過失割合」、「示談の時期、方法」などを内容とするものと幅広く、交通事故直後でも受け付けてくれる点が特徴といえます。

 

参考:日弁連交通事故相談センター

 

※示談のあっ旋、審査

示談のあっ旋は、センターの弁護士が被害者と加害者の間に入って、公平・中立的な立場から示談を促す手続き。審査は、示談のあっ旋が不調に終わった場合に、センターの弁護士で構成される審査委員会による裁定のこと。

 

交通事故紛争処理センターの和解あっ旋、審査を活用する

交通事故紛争処理センターの役割も、前述した日弁連交通事故相談センターと似ています。

すなわち、専門の弁護士による無料法律相談のほか、和解あっ旋、審査も受け付けています。

もっとも、交通事故紛争処理センターの無料法律相談は示談による紛争解決を前提としているため、交通事故直後(怪我の治療中など示談に至らない段階)での相談は受け付けていない点に注意が必要です。

 

参考:交通事故紛争処理センター|利用条件やメリット・デメリットを解説

 

民事調停を申し立てる

民事調停も、被害者と加害者との間に第三者(民事調停の場合、調停委員)が入る点では前記2つと同じですが、調停を行う機関が簡易裁判所という公的機関である点に違いがあります。

民事調停を申し立てると、調停委員が被害者と加害者の間に入り、話をまとめ調停案を提示してくれます。お互いが調停案に合意すれば調停成立ですが、片方が合意しない場合は不成立です。その場合は、裁判に移行せざるをえないでしょう。

民事調停のメリット・デメリットをまとめましたので参考にしてみてください。

 

【民事調停のメリット】

  • 弁護士に依頼しなくても調停を申し立て、手続きを進めることができる
  • 申し立てにかかる費用が裁判より安い
  • 裁判より時間がかからない
  • 裁判した場合と同程度の賠償金を得られる可能性がある
  • 調停調書が債務名義となる(強制力がある)

 

【民事調停のデメリット】

  • 調停といえども裁判と似て、一定の手続きを踏む必要がある
  • 調停委員が必ずしも交通事故に詳しいとはいえない
  • 相手方が調停案に合意しない限り調停は成立しない(合意するよう強制はできない)

 

まとめ

交通事故の裁判にはメリット、デメリットがあること、裁判以外にも解決法があることはお分かりいただけたかと思います。それぞれの解決法にはメリット、デメリットがありますので、よく把握した上で、ご自身の悩みや状況に応じた解決法を選択いただければと思います。

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