交通事故で逮捕されやすいケースとは?逮捕後の流れは対処法も解説

車を運転したことがある方であれば一度や二度、考えたことがあるのではないでしょうか?

もし、交通事故を起こしたら逮捕されるのか?」と、、

本記事では、交通事故で逮捕されやすいケース逮捕後の流れ、対処法などについて解説しています。

ぜひ最後までご一読いただけると幸いです。

 

交通事故で逮捕されやすいケース

交通事故で逮捕されるケースはそう多くはありません。

もっとも、以下の場合は、交通事故であっても比較的逮捕されやすいといえますので注意が必要です。

悪質な場合

悪質であるか否かは、まず、故意に交通事故を起こしたか否かで区別することができます。

 

故意による交通事故で典型なのが、危険運転致死傷罪に問われてしまう「危険運転による交通事故」です。

他方で、故意ではない過失による交通事故の場合は危険運転の交通事故に比べると逮捕される可能性が低いといってよいでしょう。

 

もっとも、過失による交通事故の中でも悪質な交通事故の場合は逮捕される可能性があります

その典型なのが、ひき逃げした場合です(記憶に新しいのが、俳優の伊藤健太郎さんがひき逃げで逮捕された事案です)。

また、酒酔い、酒気帯び、無免許運転中に過失による交通事故を起こした場合も同様です。

さらに、過失自体が悪質な場合、たとえば、スマートフォンを使用しながらの「ながら運転」、居眠り運転、過労・薬物の影響などによる運転による交通事故の場合は逮捕される可能性があります

結果が重大な場合

死亡事故は逮捕される可能性が高くなります。

また、怪我による交通事故の場合でも、被害者の人数や怪我の程度などによっては逮捕される可能性はあるといえます。

 

以上、逮捕の判断要素として「悪質性」と「結果の重大性」を挙げましたが、両者は相関関係にあります

たとえば、比較的軽微な過失による交通事故であっても、死亡事故であれば逮捕される可能性はあります。反対に、危険運転による交通事故であっても、被害者の怪我の治療が1週間から2週間以内で済むような場合は逮捕されないこともあるということです。

 

交通事故で逮捕される場合の罪と罰則

交通事故で逮捕される場合の主な罪としては過失運転致死傷罪、危険運転致死傷罪があります。

過失運転致死傷罪

過失(※)によって人に怪我を負わせた場合は過失運転致傷罪で、人を死亡させた場合は過失運転致死罪で逮捕されます(交通事故直後は、被害者が生存しており、その後、死亡したという場合は、過失運転致傷罪で逮捕され、その後、罪名のみ過失運転致死罪に切り替わることもあります)。

 

罰則は「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」です。

 

過失運転致死罪では正式起訴され罰金ではなく禁錮の量刑となる場合が多く過失運転致傷罪では略式起訴され罰金の量刑となる場合が多いです。

もっとも、実際の量刑は、過失の内容、結果、交通事故の場所、被害者の落ち度・過失、示談成立の有無、被害者・遺族の処罰感情、前科・前歴、交通違反歴の有無・内容などを総合的に考慮して決まります。

 

※過失

車を運転する者として守るべき注意義務に違反すること。

たとえば、車を運転する者としては、前をよく見ながら運転しなければならない注意義務(前方注視義務)がありますが、これを怠り、追突事故を起こしてしまった場合は、前方注視義務違反が過失ということになります。

 

危険運転致死傷罪

危険運転によって人に怪我を負わせた場合は危険運転致傷罪で、人を死亡させた場合は危険運転致死傷罪で逮捕されます(交通事故直後は、被害者が生存しており、その後、死亡したという場合は、危険運転致傷罪で逮捕され、その後、罪名のみ危険運転致死罪に切り替わることもあります)。

 

罰則は、危険運転致傷罪が「15年以下の懲役」、危険運転致死罪が「1年以上の有期懲役(上限20年)」です。

 

なお、危険運転の類型とは、以下の①から⑧のいずれかの運転に該当する運転とされています。

(⑤、⑥はいわゆる「あおり運転」に関する類型です。法律(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)の改正(令和2年7月2日~施行)で新たに追加されました、詳細は以下の記事で解説しています)。

 

参考:あおり運転と危険運転の厳罰化とは?典型例や罰則について解説

 

【危険運転の8類型】

 

① 正常な運転が困難となるほどの飲酒・薬物使用運転

② 進行を制御することが困難なほどの高速度での運転

③ 車を制御する技能を有しないでする運転

④ 人や車の通行を妨害する目的で著しく接近するなどし、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での危険な運転

⑤ 車の通行を妨害する目的で、走行中の車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法による運転

⑥ 自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなく方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行させる運転

⑦ 赤信号等を殊更に無視し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での運転

⑧ 通行禁止道路を進行し、かつ重大な危険を生じさせる速度での運転

 

過失運転致死傷罪、危険運転致死傷罪のほか、ひき逃げした場合は道路交通法違反にも問われます。ひき逃げについては、以下の記事で詳しく解説しています。

 

参考:ひき逃げの刑罰は?交通事故を起こしたらやるべき4つの対処法

 

交通事故で逮捕された後の流れ

 

交通事故で逮捕された後の流れは以下のとおりです。

 

【交通事故で逮捕された後の流れ】

 

① 逮捕

② 警察の留置施設

③ 警察官の弁解録取⇒釈放?⇒在宅事件

④ 送致(送検)

⑤ 検察官の弁解録取⇒釈放?⇒在宅事件

⑥ 勾留請求

⑦ 裁判官の勾留質問⇒釈放?⇒在宅事件

⑧ 勾留(決定)、国選弁護人選任

⑨ 捜査⇒釈放?⇒在宅事件

⑩ 刑事処分(起訴、不起訴)

 

逮捕から勾留決定まで(①から⑧まで)

逮捕(①)されると警察の留置施設に収容されます(②)。

同時に、警察官による弁解録取を受けます(③)。弁解録取とは、逮捕事実について被疑者から話を聴く手続きのことです。その上で、身柄拘束か釈放かが判断されますが、交通事故の場合、この段階で釈放されることも多いです

 

身柄拘束の場合は、逮捕(①)から48時間以内に事件と身柄を検察庁へ送致(送検)されます(④)。そして、検察庁でも検察官による弁解録取を受けます(⑤)。その上で、身柄拘束か釈放か判断されますが、身柄拘束と判断された場合は送致(④)から24時間以内に勾留請求されます(⑥)。

 

勾留請求された後は、裁判官による勾留質問を受けます。勾留質問は、裁判官が被疑者から話を聴いて、引き続き身柄を拘束(勾留)するかどうか判断するための手続きです。その上で、身柄拘束か釈放か判断されますが、身柄拘束と判断された場合は勾留が決定します(⑧)。また、勾留されると、資力が50万円以下の被疑者に対しては国選弁護人が選任されます(被疑者が請求する場合)。国選弁護人が選任されるタイミングや請求の条件については以下の記事で解説しています。

 

参考:国選弁護人はいつから選ばれる?請求できる条件も検察官が解説

 

勾留決定から刑事処分まで(⑧から⑩まで)

勾留期間ははじめ10日間と決まっています。また、さらに期間を延長されることもあり、延長期間は最大で10日間です(⑧)。勾留期間については以下の記事で解説しています。

 

参考:逮捕された家族の勾留期間はいつまで?計算方法について詳しく解説

 

しかし、(私選・国選)弁護人が裁判所の勾留決定(又は勾留延長決定)に不服を申し立て、これが認容された場合や稀に検察官が勾留を不要と判断した場合は、勾留期間の途中でも釈放されることがあります(⑨)。

 

勾留期間は警察、検察の本格的な捜査(取調べ、実況見分への立会いなど)を受けます(⑨)。この期間が被疑者にとって最も辛く、大変な時期といっても過言ではありません

 

捜査を経た後、起訴、不起訴の刑事処分を受けます(⑩)。

不起訴の場合は、釈放され、その後、正式に不起訴処分となります。

 

起訴の場合は正式起訴と略式起訴の場合に別れます。

正式起訴された場合は、保釈されない限り身柄拘束は継続します。そして、来る刑事裁判に備えて弁護人と打ち合わせをし、審理の日に警察官や刑務官の護送の下、裁判所に出廷して審理を受けます。

判決では、前述のとおり、禁錮刑を受けることが多いでしょう。

他方で、略式起訴された場合は、勾留期間満了日の1日か2日前に、警察官の護送の下、裁判所へ行き、裁判所書記官から「罰金●●万円」などと書かれた略式命令謄本を受け取った段階で釈放されます。略式命令謄本を受け取った後の流れについては以下の記事も参考になるかと思います。

 

参考:交通事故の罰金の通知はいつ来る?納付までの流れを解説

 

逮捕後、釈放された場合はどうなる?

逮捕されてもその後、釈放される機会がいくつかある(③、⑤、⑦、⑧の段階)ことは、これまでの解説でお分かりいただけるかと思います。

もっとも、釈放されたからといって、事件がすべ終わったわけではありません。釈放後は、在宅事件として扱われ、身柄事件と同様に、警察・検察から呼出しを受け、取調べ、実況見分などを受けなければなりません。

また、捜査が終わった後は、起訴、不起訴の刑事処分を受け、正式起訴された場合は裁判を受ける必要があります。

 

交通事故で逮捕されたら何をすべき?

最後に交通事故で逮捕された場合に取るべき行動について解説します。

弁護士との接見を依頼する

まず何より、弁護士と接見し、分からないこと、不安なことは弁護士に尋ねてアドバイスを受けるべきです。弁護士との接見には時間制限がありませんので、時間のことを気にすることなく、不安が解消するまで接見することが可能です。

接見の依頼方法は、当番弁護士との接見を希望する場合は、逮捕直後に、警察官に「当番弁護士と接見したい」といえばよいです。警察官が弁護士会に連絡し、弁護士会から弁護士が派遣されます。また、逮捕前から弁護士に依頼している場合は、警察官に「●●弁護士と接見したい」といえばよいです。

(私選・国選の)弁護士に刑事弁護を依頼する

逮捕(身柄拘束)された場合は、ご自身で行動することができなくなりますから、弁護士に刑事弁護活動を依頼しましょう。

資力が50万円未満の方は国選弁護人の選任を請求することができ(50万円以上の方は一定の条件をクリアする必要があります)、勾留決定後に国選弁護人が選任されます(詳細は「交通事故で逮捕された後の流れ」の⑧をご覧ください)。

また、経済的に余裕がある方は、私選弁護人を選任するのも一つの方法です(たとえば、接見した当番弁護士が気に入ったのであれば、「引き続き弁護してください」といって頼んでもよいです)。私選弁護人であれば、勾留決定前の段階から弁護活動してくれますから、その分、釈放の時期を早めることが可能です。

被害者、遺族への謝罪、示談を成立させる(罪を認める場合)

示談は不起訴を獲得する、あるいは、起訴された場合に量刑を軽くする意味で重要なポイントです。身柄を拘束されている場合は、弁護人に保険会社名を伝え、保険会社に示談交渉を進めてもらいます。同時に、被害者、遺族へどのような形で謝罪するかも、弁護人とよく相談して決めましょう。

もっとも、交通事故の場合は、示談成立までに一定の期間を要します。他方で、身柄事件の場合は時間的制約がある(勾留期間は最大でも20日間)ため、検察官の起訴、不起訴の判断のために示談が成立しない可能性が高いです。

したがって、交通事故で逮捕され身柄拘束が継続する場合は、何より釈放を優先させましょう釈放され、事件が在宅事件扱いとなると時間的制約がありませんから、検察官に示談成立まで刑事処分を待ってもらうということも可能となります

 

まとめ

交通事故でも逮捕される可能性はあります。どんな場合に逮捕されるのかはケースバイケースです。万が一、逮捕され、勾留決定が出るなど身柄拘束が続くようでれば、まずは釈放を目指しましょう。

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