交通事故の過失割合は誰が、いつ決める?決め方についても詳しく解説

この記事をご覧の方は、今まさに、加害者の保険会社から過失割合を提示されて困っている、という方も多いのではないでしょうか?

交通事故の過失割合は、加害者側に請求できる損害賠償金(示談金)を確定させる重要な要素であり、それゆえに交通事故ではもめる原因の一つでもあります。

にもかかわらず、交通事故を中心に取り扱う弁護士、行政書士をはじめとする専門家や保険会社の担当者以外の方にとって、過失割合が誰により、いつ、どうやって決められているのかについては不透明な部分も多いと考えます。

そこで、本記事では、

 

 

☑ 交通事故の過失割合

☑ 交通事故の過失割合を誰が、いつ決めるのか

☑ 交通事故の過失割合の決め方

☑ 交通事故で過失割合がある意味

 

 

について分かりやすく解説していきたいと思います。

本記事をお読みいただくことで、交通事故の過失割合についてより詳しくなっていただけますので、ぜひ最後までご一読いただけると幸いです。

交通事故の過失割合は、交通事故ではよく争いとなる事項の一つでもあることから、まずは概要だけでもきちんと把握しておくことが大切です。

交通事故の過失割合は責任の重さを数値化したもの

交通事故の過失割合とは、過失の重さ、すなわち交通事故に対する落ち度の程度を数値化したもののことをいいます。過失割合のマックスを「10」とし、事故の状況に応じて、たとえば、加害者「8」と被害者「2」などというように割合を振り分けるのです。

 

ここで「被害者なのに過失割合が認められるの?」と不思議に思った方もいるかもしれません。しかし、損害賠償金を問題とする民事事件では、交通事故の状況によっては、被害者にも一定程度、過失割合が認められてしまうことが多いです(※)。

たとえば、交通事故の態様で最も多い「停車中の車の後方から追突した」というような追突事故の場合は、基本的には「加害者の過失割合は「10」で被害者の過失割合は「0」」です。しかし、夜間の交通事故で、被害者がハザードランプを付けないまま車を駐停車させていた、という場合は、被害者にも「1~2」の過失割合が認められてしまうことがあります。なお、ハザードランプの正しい使い方については以下の記事で詳しく解説しています。

 

関連記事:ハザードランプの正しい使い方とは?法律やサンキューハザードについても解説 

 

※反対に、加害者に対して懲役、禁錮、罰金などの刑罰を科す刑事事件では、加害者に過失があったかどうか(=加害者が黒か白か)だけが問題となり、過失割合が問題となることはありません

 

交通事故の過失割合は誰が、いつ決める?

では、交通事故の過失割合は「誰が」、「いつ」決めるのでしょうか?

まずは「当事者」⇒最終的には「裁判官」が決める

交通事故の過失割合は、まずは、交通事故の当事者が決めます。たとえば、交通事故で車が壊れ、怪我もしたという場合は、物損の示談交渉の際に保険会社の担当者から過失割合を提示され(加害者が任意保険に加入している場合)、ここで合意すれば、人身の示談の際にも物損で合意した過失割合が適用される、というのが通常の流れです。

 

もっとも、保険会社の担当者から提示された過失割合に納得がいかない場合は合意する必要はありません。また、仮に、物損時に示談したとしても人身の示談では異なる過失割合を適用できることもあります。

過失割合に納得がいかない場合は示談交渉を打ち切り、交通事故紛争処理センター、日弁連交通事故相談センター、民事調停などを活用することもできます。その場合は、被害者と加害者の間に入る弁護士や調停委員などから解決案を提示され、合意に基づき解決するのが基本です。それでもなお、合意に至らない場合は、訴訟を提起し、最終的には裁判官が決めることになります

なお、警察官は交通事故の過失割合を決めてくれません。なぜなら、警察は、交通事故に刑罰を科す刑事事件にのみ関与しており、損害賠償金という個人間の紛争には介入しないというスタンスを取っているからです。これを警察の民事不介入といいます。

過失割合を決めることができるのは、あくまで裁判官です。保険会社から提示された過失割合に納得できない場合は無理に合意する必要はありません。

交通事故の過失割合が決まるのは少なくとも怪我の治療が終わった後

次に、交通事故の過失割合がいつ決まるかですが、交通事故直後にいきなり決まるわけではありません

そもそも、後で述べるように、過失割合は、交通事故で発生した「損害の公平な負担」という観点から損害賠償金を調整する役割があります。また、過失割合を決めるには、保険会社の担当者等が被害者・加害者などから話を聴くなどして、交通事故状況を把握する必要がありますが、それにはある程度の時間を要します。

したがって、過失割合を決まるタイミングは、交通事故からある程度の日数が経過した後、ということになります。物損のみという場合は、早くて交通事故から1週間も経過しないうちに、保険会社の担当者から示談交渉と同時に過失割合を提示されることがあります。人損も加わる場合は、後遺障が残っていない場合は怪我の治療が終わった後、後遺症が残り後遺障害等級認定申請を行った場合は、その結果が出た後となります。

交通事故現場で「自分は悪くない、相手が悪い」などと加害者と話すのは、もめる原因にもなりかねませんので禁物です。

交通事故の過失割合の決め方

前記では交通事故を決める「人」、「タイミング」についてご理解いただいたところで、次に、保険会社の担当者や弁護士、裁判官は交通事故の過失割合をどのようにして決めているのか、つまり、交通事故の過失割合の決め方についてみていきたいと思います。

交通事故の過失割合は以下の流れで決めていきます。

 

① 当該交通事故と類似した過去の交通事故を探す

② 「基本の過失割合」を決める

③ 当該交通事故固有の「修正要素」がないかどうか検討する

④ 「基本の過失割合」に「修正要素」を加味して、最終的な過失割合を決定する

 

①、②の際に参考とされるのが、「別冊判例タイムズ38号~民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂5版)」という本です。この本には、過去の判例、裁判例をベースに交通事故の類型・態様、道路状況ごとに交通事故当事者の過失割合が掲載されています

そのため、まずはこの本を参照しながら、当該交通事故と類似した交通事故がないかどうかを探します。そして、探し当てた当該交通事故と類似した交通事故の過失割合を当該交通事故の「基本の過失割合」とします。

保険会社の担当者も同じ作業をして「基本の過失割合」を決めています。つまり、保険会社の勝手な裁量で過失割合を決めているわけではありません

 

もっとも、交通事故は一つとして同じ事故はありません。また、先の書籍がすべての交通事故の態様を網羅しているわけでもありません。

そのため、当該交通事故の個別具体的な事情の有無、つまり、過失を修正する要素がないかどうかを検討しなければなりません(③)。そして、仮に、修正要素があった場合は、その修正要素の度合いに応じた過失の修正が必要となってまいります。冒頭でご紹介した追突の例でいうと、被害者がハザードランプを付けていなかった、という点が修正要素になり得ます。

なお、この修正要素の内容や過失の修正の程度も先の書籍に記載されています。

 

以上の過程で判明した「基本の過失割合」と「修正要素」を合わせて最終的な過失割合を決めます。ただ、保険会社から提示される過失割合は、加味すべき「修正要素」を加味していないなどということがあって、100%正しい過失割合とは限りません。保険会社から提示された過失割合に合意しなければならないというわけではありませんから、納得がいかない場合は意見を留保して弁護士などの専門家に相談すべきです。

保険会社の担当者も、当然、適当に過失割合を決めているわけではありませんが、必ずしもすべての事情を考慮して決めているわけでもありません。納得がいかない場合は安易に合意しないことです。

交通事故の過失割合は賠償金(示談金)を確定させるためにある

交通事故の過失割合は、加害者に対して請求できる損害賠償金を確定させるためにあります

つまり、

 

判明した損害賠償金×(加害者の)過失割合

 

が、被害者が最終的に加害者に対して請求できる金額となります。

繰り返し用いている追突事故の例でいうと、判明した損害賠償金が「100万円」、加害者の過失割合が「8」(つまり、被害者の過失割合が「2」)の場合、被害者が加害者に対して請求できる金額は80万円(=100万円×0.8)ということになるのです。つまり、20万円は被害者の負担というわけですね。

 

これは、「被害者の過失の分だけ、加害者に責任を負わすわけにはいかない(20万円を払わすわけにはいかない)」、「被害者も過失の分だけは責任を負ってね」という損害の公平な分担という考え方に基づくものです。

被害者に発生した100万円の損害から被害者の責任分の20万円を差し引くことを「過失相殺」といいます。法律では、被害者に過失があった際は、この過失を考慮して最終的な損害賠償金を定めることができますよ、という規定があります(民法722条2項)。

 

(損害賠償の方法及び過失相殺)

第七百二十二条

1 (略)

2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

 

規定には「裁判所」とありますが、話し合いの段階でも、損害の公平な分担とう見地から被害者の過失を考慮することとされています。

 

まとめ

交通事故の過失割合は、まずは交通事故の当事者同士で決める、最終的には裁判官が決めるという点を覚えておきましょう。加害者が任意保険に加入している場合は、保険会社の担当者から過失割合を提示されるかと思いますが、無理に合意する必要はありません。保険会社から提示された過失割合が適切かどうか見極めるためにも、交通事故や過失割合に関する最低限の知識は身に付けておきましょう

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