交通事故で問われる罪(過失運転致死傷罪)に【池袋死亡事故】ついて解説

交通事故で問われる罪として最も多いのが過失運転致死傷罪です

平成31年4月に、東京都豊島区東池袋の交通事故を起こした飯塚幸三氏(以下、飯塚氏といいます)が問われている罪もこの罪です。

この記事では、

  • 池袋交通事故の内容
  • 過失運転致死傷罪の内容
  • 飯塚氏の裁判で問題となっている「過失」の意味、内容

について、元検察官の法律ライターが詳しく解説してまいります。

 

池袋交通事故の内容

報道によると池袋交通事故の内容は以下のとおりです。

 

飯塚氏が乗用車を運転していたところ、交差点に入る直前、何らかの原因で道路左側の縁石に乗用車を接触させる

乗用車が急加速

【交通事故1】自転車に乗って、青色の横断歩道を渡っていた男性をはねる

暴走

【交通事故2】自転車に乗って、青色の横断歩道を渡っていた母子2人をはねる

暴走

【交通事故3】飯塚氏の車から向かって左側から交差点内を左折してきたごみ収集車に乗用車を衝突させ、収集車を横転させる

【交通事故4】横転させた車で、通行人6人をはねる

 

車の時速は最高で100km程度にまで達していたと言われています。

そして、池袋交通事故の結果、【交通事故2】において松永真菜さん(当時31歳)と松永莉子ちゃん(当時3歳)を死亡させ、【交通事故1・3・4】において、乗用車に同乗していた飯塚氏の妻を含む9人に怪我を負わせています。

 

過失運転致死傷罪とは?

過失運転致死傷罪とは、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」の第5条に規定されているです。

罰則は以下のとおり「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」です。

 

(過失運転致死傷)

第五条

自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

 

以上の規定からすると、過失運転致死傷罪

 

①自動車運転中の交通事故であること

②自動者の運転上必要な注意を怠ったこと(=「過失」があること)

③②によって人の死傷という結果が発生したこと

④②と③との間に因果関係が認められること

 

の4つの要件がそろってはじめて成立する罪ということができます。

 

このうち、池袋交通事故において、①と④の要件を満たすことが争いのないことでしょう。また、報道を見る限り、③についても争われていないようです。

池袋交通事故で争われているのは②について、つまり、飯塚氏が自動車を運転する際、自動車の運転上必要な注意を怠ったか否か(=過失の有無)、という点です。

 

過失運転致死傷罪の「過失」とは

過失運転致死傷罪の過失とは、要するに、注意義務違反のことをいいます

すなわち、自動車の運転者として一定の注意義務が求められているにもかかわらずそれを怠ったこと、義務を履行しなかったことが過失というわけです。

 

たとえば、自動車の運転者には「前方左右をよく確認しながら運転すべき注意義務」が求められます。こうした自動車運転上の注意義務については、道路交通法第70条に根拠を求めることができます。

(安全運転の義務)

道路交通法第七十条

車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

そして、前方で停止している自動車に追突した場合には、上記の運転者が、「前方左右をよく確認しながら運転すべき注意義務」を果たさなかったため追突事故が起きた、つまり、自動車の運転上必要な注意を怠ったといえ、その運転者に「過失」があったということができるのです。

 

では、池袋交通事故における「注意義務」、すなわち、交通事故当時、飯塚氏に求められることは何でしょうか?

報道によれば、飯塚氏の乗用車は、縁石に接触した直後から急加速し暴走したことが認められるため、飯塚氏が縁石に接触したことでパニックになり、ブレーキとアクセルを踏み間違えたのではないか、と言われてます。

だとすれば、ブレーキとアクセルを踏み間違えないよう運転操作に十分注意しながら自動車を運転すること、が飯塚氏に求められる注意義務ということができます。にもかかわらず、こうした自動車の運転上当然に求められる注意義務を行ったことが池袋交通事故における過失といえるのではないかと考えられます。

 

乗用車が縁石に接触した後に、急加速したことは目撃者の証言等から明らかだと思います。

そして、車が急加速するのは、上記のような注意義務を怠った場合か、あるいは飯塚氏が主張するように乗用車に何らかの異常が生じていた場合のいずれかしか考えられません。

法は人に不可能なことまでを強いることはできませんから、仮に、交通事故直前に、飯塚氏の主張するような事態が生じていたのであれば、飯塚氏に注意義務なし、つまり過失なしということとなって飯塚氏は無罪です。

したがって、池袋暴走事故の裁判では「交通事故の直前に、飯塚氏の乗用車に何らかの異常が生じていたか否か」が争点となっているのです。

 

まとめ

過失運転致死傷罪は交通事故の中で最も適用されることが多い罪です。ぜひこの機会に、誰にでも問われる可能性のあり得る犯罪として身近に感じていただければと思います。

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA