強制性交等罪の構成要件は?有罪だと刑務所行きの可能性が高い訳

先日、強制性交等罪に問われていた新井浩文さんが懲役4年の実刑判決を受け、「強制性交等罪ってどんな罪?」と思われた方も少なからずおられると思います。


そこで、今回は、どんな要件を満たした場合にこの強制性交等罪を疑われてしまうのか、つまり、強制性交等罪の構成要件有罪だと刑務所行きの可能性が高い理由について解説したいと思います。

 

強制性交等罪の構成要件は?

強制性交等罪の構成要件は、刑法177条に規定されていますので、まずは規定から確認してみましょう。

 

(強制性交等)

第百七十七条

十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口淫性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

 

以上から、強制性交等罪の構成要件は13歳以上に対する性交等13歳未満に対する性交等に分けることができます。

 

すわなち、前者の構成要件は、

 

① 暴行又は脅迫

② 性交等

 

に加え、強制性交等罪は故意犯ですから、

 

③ 故意(強制性交等罪を犯す意思)

 

だということがお分かりいただけると思います

他方で、後者の構成要件は、

 

② 性交等

③ 故意(相手方が13歳未満であることの認識)

 

ということがお分かりいただけると思います。

つまり、13歳未満に対する性交等では、①の暴行又は脅迫がなくても強制性交等罪に問われてしまう可能性があります。

 

強制性交等罪の構成要件の各要素について

以下、前述した①~③の構成要件について詳しく解説します。

構成要件①(暴行又は脅迫)

まず、①暴行又は脅迫の構成要件についてです。

暴行とは、殴る、蹴る、叩く、押し倒す、羽交い絞めにする、首元に刃物を突き付ける、などが典型です。難しい言葉で、人の身体に対する不法な有形力の行使、ともいいます。

 

脅迫とは、要は、人の生命、身体、自由、名誉、財産に対して害を加えることを告知する(発言する)ことです。「殺すぞ」が生命に対する、「痛い目に遭いたいのか」が身体に対する、「この部屋から出ても、帰れると思うなよ」が自由に対する、「●●をネット上に公開してやる」が名誉に対する、「家・車を燃やしてやる」が財産に対する脅迫の典型です。

 

強制性交等罪の暴行、脅迫は、相手の反抗を著しく困難ならしめる程度のものであることが必要と解されています。上記で挙げた暴行、脅迫の典型ともいえる行為は、通常、「相手の反抗を著しく困難ならしめる程度のもの」に当たる可能性が高いです。

もっとも、典型の行為よりかは程度の弱い行為であっても、相手との年齢・体格差、犯行時刻、場所その他の状況によっては強制性交等罪の暴行、脅迫に当たる可能性もあります

構成要件②(性交等)

次に、②性交等の構成要件についてです。

性交等には性交のほか、肛門性交、口淫性交が含まれます

 

性交とは、膣内に陰茎を入れる行為です。

なお、刑法177条は「13歳以上の者」、あるいは「13歳未満の者」と規定して相手の性別を区別していません。したがって、「男性→女性」に対する性交はもちろん、「女性→男性」に対する性交も処罰対象となりますから注意が必要です。

 

肛門性交とは、肛門内に陰茎を入れる行為口腔性交とは、口腔内に陰茎を入れる行為をいいます。「男性→女性」、「女性→男性」の肛門性交、口腔性交のほか、「男性→男性」の肛門性交、口腔性交も処罰対象となります。

構成要件③(故意)

最後に、③故意の構成要件についてです。

強制性交等罪の故意とは強制性交等罪を犯す意思、つまり、①暴行又は脅迫と②性交等の認識です。そして、①暴行又は脅迫と②性交等を認識しているということは、相手の意に反して(無理やり)性交等を行ったことを認識している、つまり、強制性交等の故意があるということになります。

 

他方で、当の行為者が、強制性交等罪の「暴行又は脅迫」と明確に認識していないために、「被害者の同意の下、行った」、「被害者が同意していると思っていた」などという主張をし、強制性交等罪の故意を否認することが多いのが強制性交等罪の特徴でもあります。

 

もっとも、行為者が上記のような主張をしただけで、直ちに強制性交等罪の故意が否定されるわけではありません行為者と被害者との人間関係、行為に至るまでの経緯や行為時の言動、行為後の状況など客観的な状況から、行為者の主張が合理的で納得がいくものかどうかが慎重に吟味され、強制性交等罪の故意の有無を判断されるということを知っておきましょう。

 

被害者が13歳未満の場合は、「13歳未満だ」、「あるいは13歳未満かもしれない」という程度の認識(故意)が必要とされています。そして、ここでも、やはり、「13歳未満とは知らなかった」などと主張する方がおられますが、その主張が客観的にみて合理性を有するのかどうか慎重に吟味され判断されることは上記と同様です。

故意が否定されても、条例違反(淫行の罪「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」)に問われる可能性は残ります。

 

有罪だと刑務所行きの可能性が高い訳

強制性交等罪で起訴され、裁判で有罪と認定された場合(日本の刑事裁判の有罪率は約97%~99%とも言われています)は実刑、すなわち刑務所行きとなる可能性が高いです。

 

実刑ではなく執行猶予付きの判決を受けるには、判決で「3年以下の懲役」の言渡しを受ける可能性がある(刑法25条)ところ、前述のとおり、強制性交等罪は懲役の下限が5年だからです。

 

(刑の全部の執行猶予)

第二十五条 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる

一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

2 (略)

 

なお、情状酌量などの減軽事由が認められれば、罰則の下限を下回る量刑を言い渡すこともできます(刑法66条、68条3号、71条)。実際に、今回の新井さんに対する控訴審判決では、被害者との間で示談が成立したことが考慮されて懲役5年を下回る、懲役4年の判決が言い渡されています。

しかし、やはり懲役3年以下の言い渡しではなかったため執行猶予ではなく実刑となったのです。

 

刑務所行きを避けるには被害者と示談を!

強制性交等罪で起訴されてしまうと、刑務所行きとなってしまう可能性が高いです。

そのため、刑務所行きを避けるには起訴されないこと、すなわち不起訴の獲得を目指すことが必要です。

 

不起訴を獲得するには、検察官が起訴・不起訴の判断をする前に示談を成立させ、その結果を検察官に示す必要があります

警察に検挙され逮捕、勾留されてしまった場合は、基本的には逮捕から最長でも約23日で起訴・不起訴の判断がくだされますから、この期間内に示談を成立させその結果を検察官に示す必要があります。身柄を拘束されている間は、弁護士に示談交渉を任せるしかありません。

 

また、身柄を拘束されなかった場合でも、ご自身で示談交渉することはほぼ不可能ですので、弁護士に依頼するしかないといえます。被害者と面識のない場合は、警察から被害者の連絡先等を入手するしかありませんが、警察が加害者であるあなたに被害者の連絡先等を教えることはありません。この場合も、弁護士に示談交渉を依頼するしかありません。

 

以上は、警察に発覚した場合の対応ですが、警察に発覚する前に示談を成立させた方がよりベストです。警察に発覚し逮捕されてしまうと、家族、職場などに迷惑をかけ、場合によっては報道、会社の懲戒処分などの不利益を受ける可能性もあります。

 

対応が早ければ早いほど受ける不利益を必要最小限に抑えることができます

 

まとめ

強制性交等罪の構成要件は①暴行又は脅迫、②性交等、③故意です。そして、罰則は最低でも懲役5年という大変重たい罪です。起訴され、裁判で有罪となれば刑務所行き(実刑)の可能性が極めて高くなると言わざるを得ません。そうれを避けるには、被害者と示談することも検討しなければならないでしょう。

 

 

 

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