面会交流は拒否できる?拒否できない理由、できる理由などを解説

面会交流は子供と離れて暮らす相手が、子供と面会等を通じて交流を図ることです。

他方で、あなたからすれば「なんで相手のために面会交流を認めてあげなければならないの」と思い、面会交流を拒否したいとお考えではないでしょうか?確かに、あなたは相手と別居や離婚するまでに様々な辛い、苦しい経験をし、相手のために面会交流のことなど考えられないというお気持ちになることも当然といえば当然のことです。

では、子供の立場になって考えてみるとどうでしょうか?

子供は、いわば親の一方的な都合によって強制的に片方の親と離れ離れに暮らさざるを得ない状況に置かれてしまったわけで、子供の立場に立ってみると、ただ一方的に面会交流を拒否することはできないようにも思えます

そこで、本記事では、

 

☑ 面会交流は、原則、拒否できないこと

☑ 面会交流を拒否する理由にはならないもの

☑ 面会交流を拒否した場合に受けるリスク

☑ 面会交流を拒否する理由になるもの

☑ 面会交流を拒否するために普段からやるべきこと

☑ 面会交流の負担を減らす方法

 

について解説してまいります。

本記事をお読みいただくことで、面会交流を拒否したいと思った際に何をすべきか今後どう対処していくべきかがお分かりいただけますので、ぜひ最後までご一読いただければと思います。

 

面会交流は、原則、拒否できない

面会交流は、原則として拒否することはできません。

相手から面会交流をしたいという申し入れがあった場合には、面会交流させる方向で面会交流の具体的なやり方につき話し合いを進める必要があります。

また、一度、面会交流をさせると取り決めた以上、取り決めた内容にしたがって面会交流させる必要があります。

 

面会交流を、原則拒否できない理由は、面会交流が子供と離れて暮らす親の権利であるのと同時に、子供のためでもあるからです。

すなわち、子供にとって離れて暮らす親はあなたと同じく親(以下、護親といいます)であることに変わりはなく、子供は面会交流を通じて、監護親のみならず非監護親からも愛情を受けているという安心感と充足感を得ることができます。そして、そのことが子供の自己肯定感を育み、子供の健全な成長へとつながると考えられているのです。

 

なお、6歳半の娘を連れて別居した妻に対して面会交流調停を申し立てた夫に面会交流を認めた裁判所(東京高等裁判所 平成25年7月3日)は次のように述べています。

「子は、同居していない親との面会交流が円滑に実施されることにより、どちらの親からも愛されているという安心感を得ることができる。したがって、夫婦の不和による別居に伴う子の喪失感やこれによる不安的な心理状態を回復させ、健全な成長を図るために、未成年者の福祉を害する等面会交流を制限すべき特段の事情がない限り、面会交流を実施していくのが相当である。」

 

面会交流を拒否する理由にはならないもの

では、面会交流を拒否する理由にはならないものの、多くの方が面会交流を拒否する理由として挙げやすいものをここでピックアップしてみます。

相手を信じることができない、怖い

面会交流時に子供を連れ去られるのではないか、(相手に現住所を秘密にしている場合)子供から現住所を聞き出し、現住所を把握されてしまうのではないか、相手が怖く、面会交流時に相手と会うことができない、などという理由です。

しかし、これらは第三者の仲介や立会などの工夫で解決できる場合もあるため、面会交流を拒否できる理由にはなり得ません。

子供が面会交流に消極的、拒否している

子供が面会交流を嫌がっている、子供が相手と会いたくないといっている、などの理由です。

しかし、子供は、監護親の影響を受けたり、あるいは面会交流の軋轢そのものを嫌って消極的態度に出たり、面会交流を拒否しているだけかもしれません。したがって、子供が面会交流に消極的あるいは拒否しているというだけでは、直ちに面会交流を拒否する理由にはなりません。

なお、子供が15歳以上の場合は、その意思を尊重した方がよいでしょう。

相手が養育費を支払ってくれない

養育費と面会交流は対価関係にありません。したがって、相手が養育費を支払ってくれないからといって、面会交流を拒否する理由とすることはできません。なお、養育費と面会交流が対価関係にないということは、いくら相手から養育費を支払われていても面会交流を拒否できることがある、ということを意味しています。

再婚したため、子供を新しい環境に馴染ませたい

かつては、平穏な生活に波風を立てないという理由で面会交流を拒否できていましたが、近年は、面会交流を拒否できる理由とすることはできません。子供は実際に監護されている親と、そうでない親との関係を個別に持つことができ、子供に面会交流させても子供に悪影響を与えることはないと考えられているからです。

 

面会交流を拒否した際のリスク①~慰謝料請求、親権者変更

話し合いによって面会交流の条件につき取り決めたにもかかわらず、理由なく拒否した場合のリスクは2つあります

一つ目に、面会交流拒否によって相手が精神的苦痛を受けたとして、相手から慰謝料請求されることです。

もっとも、その前提として、面会交流の拒否行為が違法(不法行為)と評価されるものでなければなりません。

したがって、あなたが相手からの慰謝料請求に応じなければならないのは、面会交流の条件が具体的に決められている子供に嘘をつくなどして積極的に面会交流を妨害している相手から長年に渡り面会交流を求められているにもかかわらず拒否し続けている、などの事情がある場合です。

 

二つ目に、相手から「親権者変更調停」を家庭裁判所に申し立てられることです。

前述のとおり、面会交流は子供のためにあるのに、理由なく面会交流を拒否する親は子供の親権者として適任ではない、というのが申し立ての理由です。

万が一、親権が相手に移った場合は、面会交流を拒否するどころか、今度はあなたが相手に対して面会交流させてくれと求める立場に立たされます。

もっとも、裁判所は、虐待や育児放棄など親権者として明らかに不適任と認められる事実がある場合を除いて、今ある子供の生活環境はなるべく変更させたくないと考えています

したがって、相手から親権者変更調停を申し立てられたからといって、慌てず冷静に対処すれば多く場合は変更させられずに済みます

 

面会交流を拒否した際のリスク②~履行勧告、間接強制命令

離婚調停(審判)や面会交流調停(審判)で、面会交流の条件につき取り決めたにもかかわらず、理由なく拒否した場合は前述の慰謝料請求や親権者変更調停に加えて、次の2つのリスクを挙げることができます

一つ目に、調停・審判をした家庭裁判所から履行勧告を受けことです。

履行勧告とは、「(調停・審判で取り決めたとおりに)面会交流させなさない」という家庭裁判所からの注意勧告です。家庭裁判所は相手からの申出を受けた上で履行勧告します。

履行勧告の内容は、家庭裁判所から送達される「履行勧告書」という文書に記載されています。

履行勧告書は何の前触れもなく、ある日突然、ご自宅に送達されてきますから、受け取った当初は驚かれるかもしれません。

しかし、履行勧告に従わなかったこと自体に対する制裁金や罰則のようなものはありませんし、子供を連れていかれるなどの強制的な措置を取られるというわけではありません

つまり、履行勧告に従うかどうかは、あなたに委ねられているといえます。

 

二つ目に、間接強制命令を受けることです。

間接強制命令とは、「相手に面会交流させない場合、1回につき●万円(5万円~10万円程度が相場)を相手に支払え。」という家庭裁判所からの命令のことです。

間接強制命令も、相手からの申し立てを受けて始めて発せられるもので、間接強制命令の内容はご自宅に送達される「決定書」に記載されています。

面会交流に応じた場合はお金を支払う必要はありませんが、拒否した場合はお金を支払う義務が生じ、お金を支払わない場合は最終的には財産を差し押さえられてしまう可能性まで出てきます。

このように、間接強制命令は、あなたにお金を払いなさいという心理的なプレッシャーをかけることで、間接的に面会交流を実現させることを目的としているのです。

なお、面会交流では、裁判所の執行官が子供を強制的に連行し、相手の元へ連れて行って無理矢理、面会交流を実現させるという直接強制の手段を取られることはありません。

 

面会交流を拒否する理由にできるもの

これまでは、面会交流を拒否できないことについて解説してきましたが、ここでは、面会交流を拒否する理由とできるもの、多くの方が理由として挙げるものをピックアップしてみたいと思います。

なお、前述した、東京高裁は「未成年者の福祉を害する等面会交流を制限すべき特段の事由」がある場合には面会交流を拒否できる、と述べています。何が「面会交流を制限すべき特段の事由」に当たるかは、子供の心身の状況、子供の意思・年齢、父母の葛藤・緊張関係の程度、面会交流についての父母の協力の可能性など様々な事情を考慮して判断しなければなりません。

相手から子供に対して虐待を加えられるおそれが高い

相手が過去に、子供に対して暴力を振るっていた、暴言を吐いていた、性的な行為に及んでいたなどの事実があり、子供が現に相手に対して恐怖心を抱いている場合です。

相手が子供を連れ去るおそれが高い

相手から過去に連れ去られた経験がある、あるいは普段から連れ去りをほのめかす言動を受けているなどの事実がある場合です。

もっとも、前述のとおり、第三者の仲介や立会などの工夫で解決できる場合は、面会交流自体を拒否することはできません。

相手からDV被害を受けていた

あなたが相手から過去にDV被害を受けており、それによって子供が精神的ダメージを受け、相手に対して恐怖心を抱いているような場合です。

もっとも、子供自身に影響が及んでいない場合は、相手と直接会わない形での面会交流を実施できないかどうか検討する必要が出てくることもあるでしょう。

無理な条件を突きつけられている、条件を守らない

たとえば、子供と毎日会いたいと要求される、(お互い遠方に住んでいるにもかかわらず)子供を連れて来ること、交通費を負担することを要求される場合などです。

また、一度取り決めた条件を反故にし、自分勝手な要求をされた場合にも面会交流を拒否できます。

 

面会交流を拒否するためには証拠を集めておく

相手から面会交流を求められても、それを拒否するためには「面会交流を拒否する理由にできるもの」でご紹介した4つの事実を裏付ける証拠を普段から集めておくことです。

集めた証拠は、相手との交渉の際や相手から面会交流調停を申し立てられた際の調停の場合おいて、あなたの「面会交流を拒否したい」という主張に説得力をもたせることに役立ちます

以下、それぞれの事実について役立つ証拠の例をご紹介します。

子供、あなたに対する虐待のおそれに関する証拠

 虐待場面、負傷した部位を撮影した写真、動画

☑ 虐待時の音声を録音したレコーダー

☑ 病院を受診した際に作成された診断書、カルテ

☑ 警察、児童相談所、DVセンターに相談した際に記録された相談記録

☑ 子供から虐待を受けたと相談された直後に記録したメモ、日記 など

子供の連れ去り、無理な条件提示、条件不遵守に関する証拠

☑ 相手との普段の会話(連れ去り、無理な条件提示を裏付ける発言)を記録したレコーダー、メールの送受信履歴を記録したスクショ

☑ 連れ去り、無理な条件提示、条件不遵守についてあなたが付けたメモ、日記 など

 

面会交流の負担を減らす方法

あなたが面会交流を拒否したいと考えているのは、面会交流が負担に感じているからではないでしょうか?

面会交流といってもやり方は多種多様で、やり方によっては負担を感じず、「面会交流を拒否したい」という気持ちから、「面会交流を認めてもよい」という気持ちへと切り替わるかもしれません。

そこで、最後に、面会交流の負担を減らす方法についてご紹介してまいります。

第三者機関を利用する

第三者機関とは、面会交流の橋渡し役、サポート役を担ってくれる機関です。

サポートしてくれる機関は、公益社団法人、NPO法人などの民間の機関から、都庁、県庁、市役所などの公的機関まで様々で、以下のサイトからも検索することが可能です。

 

参考:面会交流.com

 

サポートの方法は、子の引き渡しから付き添いまで行ってくれる「付き添い型」、子の受け渡しを行ってくれる「受け渡し型」など様々な方法があります。

利用にあたっては利用条件をクリアする必要があるほか、費用がかかる場合もありますので、申し込み前にしっかり確認しておきましょう。

面会以外の方法で交流させる

面会以外の方法としては、従来から行われている手紙、メール、プレゼント、写真の交換などがあります。また、近年では、ZOOM、Skypeなどを活用したオンライン面会を実施する方もおられます。

しかし、ZOOM、Skypeを行うにしても機器をセッティングする必要や機器を設置する上である程度スペースを確保する必要があります。また、DVなどの理由で相手に住所を秘匿している方にとっては、相手に住所がバレる可能性があり敬遠されがちという課題もあるようです。

いずれの方法を取るにしても、自分勝手に決めることはできず、相手の理解(合意)を得ることが必要です。

相手との話し合いで決めることが難しい場合は、家庭裁判所に対して「面会交流調停」の申し立てを行うことを検討しましょう。面会交流調停の申し立て方法などについては、以下の記事で詳しく解説しています。

 

参考記事:面会交流調停の申立て前後の流れ、拒否された場合の対処法を解説

 

まとめ

面会交流は、原則として拒否することはできません。つまり、拒否できるケースは限定的です。もし、面会交流を拒否したいならば、あなたの主張を正当化するだけの証拠を普段から集めておくことが大切です。

なお、面会交流と一言でいってもやり方は様々ありますから、どんなやり方があるのか周囲のアドバイスを受けながら、あなたの負担のない形で面会交流に応じてみることも一つの方法といえます。

 

 

 

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