面会交流調停の申立て前後の流れ、拒否された場合の対処法を解説

この記事にたどり着いた方の多くは、子供と面会交流したいけれど、相手が会わせてくれない、連絡を取らせてくれない、などということで辛い思いをされている方だと思います。

そんなときに取り得る手段が「面会交流調停」ですが、聞きなれず、いったいどんなことから始めればよいのか分からないという方も多いでしょう。

そこで、本記事では、この面会交流調停について解説していきたいと思います。

本記事をお読みいただくことで、

 

☑ 面会交流調停を申し立てるべきケースとタイミング

☑ 面会交流調停の申し立てまでの流れ

☑ 面会交流調停を申し立てた後の流れ

☑ 面会交流調停で面会交流が認められないケース

☑ 相手から面会交流を拒否された場合の対処法

 

について知っていただけると思いますので、ぜひ最後までご一読いただけると幸いです。

面会交流調停は、まずは夫婦(又は離婚した元夫婦)同士で話し合いを試みて、話し合いができない、話がまとまらない、という場合に活用する手続きです。

面会交流調停とは

面会交流調停とは、「面会交流」についての「調停」のことです。

 

面会交流とは、子供と離れて暮らす親が子供と会って遊ぶ、食事する、取り決め内容によっては宿泊や旅行すること、あるいは電話、手紙、メール、プレゼント、写真交換、学校行事へ参加することなどを通じて、子供と交流を図ることをいいます。

 

次に、調停とは、家庭裁判所における話し合いの手続きのことです。

調停では、公平・中立的立場の調停委員が夫婦の間に入って双方から話を聴き、双方の希望を調整して合意できる形の調停案を夫婦に提示します。

 

面会交流を行うにあたっては、どの子供と面会交流するのか、いつ、どのくらいの頻度で面会交流するのか、面会交流はどこで行うかなど、話し合いで取り決めなければならないことがたくさんあります。

こうした面会交流や親権、養育費などの離婚の条件については、まずは夫婦間で話し合って取り決める、すなわち「協議(すること)」が基本です。

もっとも、そもそも話し合いができないという場合もあるでしょうし、何とか話し合いはできるものの感情的になり冷静に話し合うことができず話がまとまらないという場合もあるでしょう。

そうした場合に活用できるのが「調停」です。

つまり、調停は夫婦(又は元夫婦)同士で協議(話し合いが)できなかった場合に利用する手続きと考えてください。

 

面会交流調停を申し立てるべきケースとタイミング

面会交流調停を申し立てるべきなのは、話し合いができない、あるいは話し合いはできるが話がまとまらないというケースです。

なお、話し合いを試みず、いきなり面会交流調停を申し立てることもできなくはありませんが、得策とはいえません。なぜなら、面会交流調停を申し立てられた相手からすれば、自分を通さず裁判所を通して話し合いをもちかけられたことで不快に思い、態度を硬化させて、ますます話し合いに応じなくなる可能性があるからです。したがって、まずは話し合いを試みて、それが難しいという場合に面会交流調停を申し立てるべきといえます。

なお、面会交流調停の申し立ては離婚後のみならず、離婚前でも可能です。

 

面会交流調停の申し立てまでの流れ

面会交流調停の申し立てまでの流れは以下のとおりです。

 

① 相手方の住所地を把握する

② 必要書類等を準備する

③ 家庭裁判所に申立書等を提出する(申し立て)

 

以下、順にみていきましょう。

①相手方の住所地を把握する

相手方の住所地を把握しなければならない理由は、面会交流調停を申し立てなければならない家庭裁判所が、基本的に「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所」だからです。たとえば、申立人の住所地が大阪で、相手方の住所地が東京の場合は、東京の家庭裁判所に対して面会交流調停を申し立てる必要があります。

相手方の住所地を管轄する家庭裁判所がどの裁判所であるかは以下から確認することができます。

 

参考:住所地を管轄する家庭裁判所

 

なお、申立人と相手方との合意により家庭裁判所を指定することもできます(合意管轄)。たとえば、上記の例で、合意により名古屋家庭裁判所と指定することも可能で、その場合は、名古屋家庭裁判所に対して面会交流調停を申し立てます。

また、裁判所が必要と認めたときは、電話会議システムを使っての調停が行われることがあります。もっとも、このシステムを使うことができるのは、このシステムを備えている法律事務所の弁護士に弁護を依頼した場合に限られるとお考え下さい。弁護士に依頼した場合は、弁護士を通じてそこにいる人が調停を申し立てた本人(申立人)だと確認できますが、依頼していない場合は本人確認ができないからです。

②必要書類等を準備する

申し立てに必要な書類等は以下のとおりです。

なお、書式をインターネット上に公開している家庭裁判所もあります。

もっとも、使用する書式は各家庭裁判所によって若干異なること可能性もありますので、詳細は申し立てを行う家庭裁判所に尋ねた方が安心です。

 

【面会交流調停を申し立てる際に必要なもの】

 

なお、家庭裁判所に提出する書類や証拠資料の中に相手に知られたくない情報(住所等)が記載されており、家庭裁判所が見る必要がないと思われる部分は、当該部分をマスキングして提出します。また、家庭裁判所が見る必要があると思われる部分は、上記の「非開示の希望に関する申出書」に必要事項を記入の上、該当する書類・証拠資料を添付して提出する必要があります。

③家庭裁判所に申立書等を提出する

必要書類等の準備ができたら、管轄の家庭裁判所に申立書等を提出します。

提出方法は、

 

  • 家庭裁判所に直接、申立書等を持参して提出する方法
  • 家庭裁判所に申立書等を郵送する方法

 

があります。

お住いの場所から家庭裁判所までの距離等を考慮していずれかの方法を選択しましょう。

なお、直接持参した場合、軽微な不備であればその場で修正して提出することも可能ですので、可能な限り、直接持参して提出することをお勧めします

 

面会交流調停を申し立てた後の流れ

面会交流調停を申し立てた後の流れは以下のとおりです。

 

④ 家庭裁判所と調停期日を調整する【(申立書等)受理から1週間前後】

⑤ 家庭裁判所から「調停期日通知書」が送られてくる【④から1週間前後】

⑥ 指定された日時(調停期日)に家庭裁判所へ行く

【調停時間は1回につき2~3時間程度】

【調停期日の回数は月1回のペースで進められ、⑧までに平均3~5回、期間は平均3~⑤か月、長くて1年以上】

(家庭裁判所調査官による調査)→ 調停取り下げ → 調停終了

⑦ 調停委員から調停案が提示される

⑧ 合意 → 調停成立 → 調停調書作成

不合意

調停不成立

審判へ移行

 

④家庭裁判所と調停期日を調整する

家庭裁判所に申立書等が受理された後、1週間前後で、家庭裁判所から調停期日の打診の連絡が入りますので、調整して、調停期日を決めます。

⑤家庭裁判所から「調停期日通知書」が送られてくる

調停期日を決めると、家庭裁判所から調停期日などが記載された「調停期日通知書」が送られてきますので受け取りましょう。また、同時に相手にも調停期日通知書などの書類が送られています。

⑥指定された日時(調停期日)に家庭裁判所へ行く

調停期日通知書に記載されている日時、場所に従って、家庭裁判所へ行きます。

家庭裁判所では、相手と別々の控室が設けられ、相手と顔を合せないような配慮がなされます。それでも「廊下などで顔を合せないか不安」という場合は、調停期日通知書に記載されている担当書記官に電話して事前に相談しておくと、控室のフロアーを別々にするなどの対策を取ってもらえることもあります

 

調停では、相手と交互に調停室に呼び出され、調停委員から面会交流に関する希望などを聴かれます。調停委員は双方から希望を聴き、話をまとめていきますが、1回でまとまることは稀です。話がまとまらない場合は次回の調停期日を指定され、指定された日時に家庭裁判所へ行くということを繰り返します。

 

なお、話がなかなかまとまらないという場合は、裁判所の判断で家庭裁判所調査官(以下、調査官といいます)による調査が行われることがあります。具体的には、調査官が申立人、相手方、子供と面談するなどして、面会交流を認めることが適当か否か、認めるとしていかなる条件が適当を調査します。調査結果は報告書にまとめられ、調停委員や裁判官の参考資料とされます。調査官調査の結果、面会交流を認めることが妥当でないと判断された場合は、裁判所から面会交流調停の申し立ての取り下げを勧められることがあります。いかなるケースで面会交流を認めることが妥当でないと判断されるか、については後記の「面会交流調停や審判で、面会交流自体が認められない「特段の事情」とは」でご紹介します。

⑦調停案の提示、⑧調停成立・不成立

調停期日を重ねた結果、面会交流を認める方向で話し合いが進められ、話がまとまりそうだと判断された段階で、調停委員から面会交流に関する調停案が提示されます。

 

申立人、相手方双方が調停案に合意する場合は調停成立です。

調停が成立した場合は、話し合いの結果をまとめた調停調書が作成されます。

調停調書正本(調停調書原本の写し)は、万が一、相手方が今後、面会交流そのものを拒否した場合や取り決めた内容にしたがって面会交流をさせない場合の「間接強制」を申し立てる際に必要となりますので、担当書記官に取得したい旨を申し出て取得しておきましょう。

参考:調停調書(正本)等の取得申請書書式

他方で、調停案に合意しない場合は調停不成立です。

調停が不成立となった場合は、自動的に「審判」に移行します。

審判では、裁判官が当事者双方や子供から聴取した話の内容、あらためて実施した調査官調査の結果、調停の経緯、結果などを踏まえ、面会交流を認めるか、認めるとした場合の面会交流の条件を示す判断(審判)を下します。

審判の内容は審判書という書面で当事者双方に告知されます。当事者は審判の内容に不服がある場合は、書面を受け取った日から14日間は不服(即時抗告)を申し立てることができます。期間内に当事者のいずれかが不服を申し立てた場合は高等裁判所で審理され、不服を申し立てない場合は書面に記載された内容にしたがって面会交流を実施する必要があります。

 

面会交流調停や審判で、面会交流が認められない「特段の事情」

裁判所は、子供の福祉を害するなど、面会交流を制限すべき特段の事情がない限りは、面会交流自体は認めるスタンスです。それは、面会交流が子供と離れて暮らす親の権利と同時に、子供の利益にもつながるからです。

もっとも、面会交流調停を申し立てたからといって、必ずしも、裁判所が面会交流を認めてくれるわけではありません。調停や審判を通じて、「面会交流を制限すべき特段の事情」が明らかとなった場合には、面会交流自体が認められず、裁判所から調停の申し立てを取り下げるよう勧められることがあります。

以下では、面会交流が認められない「特段の事情」についてご紹介します。

過去に、子供を虐待したことがある

申立人に、子供に暴力を振るった、暴言を吐いた、わいせつな行為をしたなどという過去がある場合は面会交流が認められない可能性があります。ポイントは虐待が常習的に行われ、今後も行われる可能性があるかどうかという点です。

子供が面会交流を拒否している

面会交流を認めるか認めないかの判断にあたっては子供の意思も考慮され、子供が面会交流を拒否する場合は、面会交流が認められない可能性があります。

子供の意思をどこまで考慮するかは子供の年齢や子供の発育の程度によります。一般的には、子供が12歳を超えてくるとある程度尊重されるようになり、15歳以上となるとほぼ子供の意思どおりとなります。

子供に悪影響・害悪を及ぼす可能性が高い

子供を犯罪行為に巻き込む、子供を連れ去る、子供に多額の金品を渡す、相手の教育方針に反するようなことをする、子供に相手の悪口を吹き込んだりするなどのおそれが高いと判断された場合には面会交流を認められない可能性があります。

面会交流調停で不誠実な態度を取る

調停委員や裁判官に対する態度や言葉遣いが乱暴、調査官の調査に非協力的、相手に無理な条件を無理矢理押し付ける、決められた時間を守らない(時間にルーズ)場合などは、親としての適格性に疑問を持たれ、面会交流が認められない可能性があります。また、見た目により調停委員等に与える印象も大事ですから、面会交流調停に着ていく服装や身だしなみにも注意する必要があります。

 

相手から面会交流を拒否される、条件を守ってくれない場合の対処法

面会交流調停によって面会交流が認められても、相手から面会交流自体を拒否される、相手が面会交流の条件を守ってくれないということも考えられます。以下では、そうした事態となった場合に取るべき対処法について解説します。

履行勧告

履行勧告は、家庭裁判所から相手方に「面会交流させなさい」、「面会交流調停(審判)で決まった条件で面会交流させなさい」と忠告してもらえることです。

家庭裁判所からの忠告とあって一定の効果は期待できますが、相手が忠告に従うかどうかは相手しだいです。相手が忠告に従わなかったからといって、法的に強制できるわけではありません

家庭裁判所に履行勧告してもらうためには、調停・審判をした家庭裁判所に対して次の書類を提出して申出する必要があります。費用は無料です。

 

【履行勧告のために必要な書類】

→調停調書は調停成立後に裁判所に申請して取り寄せます。審判書は裁判所からご自宅へ郵送されます。

 

再度の面会交流調停を申し立てる

調停、審判で面会交流の条件につき取り決めたとしても、再度の面会交流調停を申し立てることは可能です。

調停、審判後に相手に何らかの事情の変化が生じ、それが面会交流の障害となり、面会交流に応じない理由となっている可能性も考えられます。再度の面会交流調停では、前回の調停、審判後にどんな事情の変化が生じ、なぜ面会交流に応じられなくなったのか明らかにし、それが面会交流の障害となっている場合には除去して、新しい条件の下で面会交流をやり直すことも可能です。

再度、調停を申し立てたり、家庭裁判所に足を運んだりと手間・暇かかりますが、相手と波風立てず、スムーズに面会交流をやり直すことができ、実務上もっとも選択されている方法です。

間接強制

間接強制とは、家庭裁判所から相手方に「面会交流をさせない場合は、1回につき、●●円を相手方(申立人)に払え。」と命令してもらうことで、間接的に面会交流を実現させようとする手段のことです。

相手方が金銭の支払いを命じられることで、履行勧告よりもよりいっそう面会交流に応じることが期待できます。もっとも、それでも相手が面会交流に応じない場合はそれまでです。面会交流において、裁判所の執行官が相手方の元から子供を連れ出し、あなたと強制的に面会交流を実現させる手段(直接強制)を取ることは、子供にかかる負担が大きいことから認められていません。また、相手方が面会交流に応じず、お金も支払わない場合は、あらためて相手方の財産(預貯金など)を差し押さえる手続きを取る必要があります。

家庭裁判所に間接強制命令を出してもらうためには、調停・審判をした家庭裁判所に対して次の書類等を提出して申し立てを行う必要があります。申し立てが認められるためには、調停で面会交流の条件につき、具体的に取り決めておくことが大切です。

 

【間接強制のために必要な書類】

  • 間接強制の申立書 【書式】
  • 調停調書(正本)、審判書(正本)

→正本は写し、謄本とは異なり、正本である旨の裁判所書記官による認証がなされたものです。手元にない場合は、調停・審判をした家庭裁判所に対して申請し取り寄せる必要があります。

  • 正本の送達証明書

→調停調書(正本)、審判書(正本)が相手方に送達されたことを証明する書類です。これも調停・審判をした家庭裁判所に対して申請して取り寄せる必要があります。

  • 2,000円分の収入印紙

→申立書に貼付します

  • 郵便切手代

→裁判所の郵送費に充てるものです。金額、切手の種類・枚数は家庭裁判所によって異なりますので、あらかじめ電話して確認しておきましょう。

 

慰謝料請求

面会交流を拒否されたことによって精神的苦痛を受けた場合は、その苦痛の程度をお金に換算して相手方に金銭の支払いを請求することができます

もっとも、相手に慰謝料を請求するには、相手があなたに精神的苦痛を与えるだけの違法性の強い不法行為を行った、という事実が必要です。単に1回や2回、面会交流を拒否されたというだけでは慰謝料請求することは難しいでしょう。他方で、相手が子供に嘘を付いて積極的に面会交流することを妨害していた場合などは、数回、面会交流を拒否されただけでも慰謝料請求することは可能といえます。

相手に慰謝料請求するには、まずは内容証明を送り、相手の出方を見て訴訟を提起するかどうかを検討しなければなりません。仮に、慰謝料請求することができたとしても、面会交流を実現できるわけではありません。

 

まとめ

面会交流調停は、家庭裁判所という公的機関を利用して、相手方と面会交流について話し合うための手続きです。裁判と比べると、それほど手続きは複雑ではありませんから、ご自分で調停を申し立て、手続きを進めていくことも不可能ではありません。それでもやはり一定のルールに従う必要がありますから、手続きに不安を抱える方は早めに弁護士に相談すべきです。

 

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