離婚の慰謝料は口約束ではダメ?離婚協議書のサンプルも掲載

離婚の慰謝料を請求しようと考えても、取り決めることが面倒になってついつい口約束で終わらせてしまう、という方も多いのではないでしょうか?

本記事では、協議離婚で大切な協議離婚書のサンプルも掲載しながら、離婚の慰謝料を口約束で終わらせてはいけない理由などについて解説してまいります。

ぜひ最後までご一読いただけると幸いです。

 

離婚の慰謝料とは

離婚の慰謝料とは、離婚に伴う慰謝料のことをいいます。

離婚に伴う慰謝料とは、離婚することによって被った精神的苦痛に対する賠償金です。

誰しも離婚によって、程度の差こそあれ辛い思いをします。離婚したことで辛い思いをした、という気持ちに対する埋め合わせのお金が離婚の慰謝料というわけですね。

離婚の慰謝料のことを離婚自体慰謝料といいます。

 

もっとも、離婚によって辛い思いをする原因は何も離婚だけではありません。

むしろ、離婚する過程に至るまでには、配偶者の不貞行為、DV、悪意の遺棄など(家に帰らない、生活費を渡さないなど)による辛い思いを経験してきた方も多いのではないでしょうか?仮に、そうした経験をしたという場合は、相手方に慰謝料を請求できる可能性があるわけですが、その場合の慰謝料は離婚自体慰謝料に対して離婚原因慰謝料といいます。

 

離婚自体慰謝料と離婚原因慰謝料は、消滅時効(※)の起算点などにつき違いがあるものの、実務では明確に区別することなく請求する場合が多いです。

 

※消滅時効

一定期間が経過すると、慰謝料の損害賠償請求権という権利が消滅して、相手方に慰謝料を請求することができなくなってしまう法制度のこと。

離婚原因慰謝料は、基本的に、相手方の不貞行為を知ったときから3年で時効にかかるのに対し、離婚自体慰謝料は離婚のときから3年と、消滅時効の起算点が後になります。

不貞行為、DVなどは裁判上の離婚理由にあたる

配偶者の不貞行為やDVは裁判上の離婚理由(法定離婚事由)に当たります。

民法(民法770条1項各号)は裁判上の離婚理由として、以下の5つを挙げています。

 

【裁判上の離婚理由(法定離婚事由)】

 

1号 不貞行為(配偶者があなた以外の者と肉体関係を持つこと)

2号 悪意の遺棄

3号 配偶者の3年以上の生死不明

4号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない

5号 その他婚姻を継続しがたい重大な理由(性格・性生活の不一致、DV、配偶者の両親との仲たがいなど)

 

もっとも、これらは、配偶者との離婚を希望するあなたが離婚訴訟を提起し、裁判所に裁判上での離婚を認めてもらう際に必要とされる事由です。裁判に至るまでの協議や調停の段階では、上記の事由にとらわれることなく、配偶者が離婚に合意さえすれば離婚は成立します(反対に、合意しない場合は、裁判で法定離婚事由があることを証明する必要があります)。

 

他方で、配偶者に慰謝料を請求するとなると、お金に関わることゆえ配偶者は不貞行為の事実を簡単には認めない(自白しない)でしょう。そのため、配偶者に離婚の慰謝料を請求するには、配偶者に不貞行為を自白させるだけの証拠を集めておく必要があります。お一人で証拠を集めることに限界がある場合は、探偵等に依頼することも検討しましょう。

 

離婚の慰謝料を口約束してはいけない理由

離婚の慰謝料を口約束してはいけない理由は、高い確率で、後日、その約束を反故にされてしまう(なかったことにされてしまう)からです。

配偶者が不倫、浮気、不貞行為(第三者と肉体関係を結ぶこと)を疑い、配偶者や配偶者の不倫相手に対して「慰謝料請求したい」と思い、ついつい感情的になって口約束だけ済ましてしがいがちです。

確かに、不倫した相手方と面と向かって慰謝料のことについて話し合うことは気が引けますし、話し合いをした上でそれを文書にまとめることなどもってのほか、と考える方も多いでしょう。

 

しかし、相手方に請求した内容をきちんと書面に残しておかなければ、きちんと相手方にあなたの意図している内容や思いを伝えることができません。自分ではこう思っていたはずなのに相手方にまったく通じていなかった、という結果になることは目に見えています。

 

以上が離婚の慰謝料を口約束してはいけない理由ですが、このことは何も慰謝料に限った話ではありません。

離婚する際に取り決めなければならない、親権、養育費、面会交流、財産分与、年金分割などのことはすべて書面に残しておくべきです。

そのための書面のことを「離婚協議書」といいますが、離婚協議書についてはまた機会をあらためて詳しく解説したいと思います。

 

離婚の慰謝料は口約束ではなく離婚協議書、公正証書にしよう

慰謝料のことを含めた離婚の条件について、一度取り決めた内容を反故にされないための書面が離婚協議書と公正証書です。

 

離婚協議書のサンプルを以下に掲載しますのでよかったら参考にしてみてください(慰謝料について詳し目に作っています)。

なお、離婚協議書の書式はインターネットからもダウンロードすることができます。

 

【↓離婚協議書サンプル↓】

 

離婚協議書

 

〇〇〇〇(以下、甲という)と××××(以下、乙という)は、甲乙間の婚姻の解消に関する件(以下「本件」という。)について、以下のとおり合意する。

 

第1条(離婚の合意)

甲及び乙は、本日、協議離婚すること及び乙がその届出を速やかに行うことを合意する。

 

第2条(親権)

甲・乙間の長女□□□□(平成□□年□月□日生)(以下、丙という)、次女■■■■(平成■■年■月■日生)(以下、丁という)の親権者・監護者を乙と定めて、乙において監護養育することとする。

 

第3条(養育費)

1 甲は乙に対し、前記子らの養育費として、令和〇年〇月から令和〇年〇月まで、1人につき毎月〇万円の支払い義務があることを認め、これを毎月末日限り、金〇万円の合計金〇〇万円を乙の指定する以下の口座へ振込送金の方法により支払う。

 

◇◇銀行 ◇◇◇◇支店    普通口座

口座番号 ◇◇◇◇◇◇◇ 名義人 ✕✕✕✕✕✕✕

 

2 振込手数料は甲の負担とする。

3 甲乙は、前記子らの入学、事故及び病気などで特別な費用を要する場合は、互いに誠実に協議して分担額を決める。

4 上記の養育費は、物価の変動その他の事情の変更に応じて甲乙協議の上で増減できる。

 

第4条(面会交流)

1 乙は、甲が、1か月に1回、丙・丁と面会交流することを認める。

2 面会交流の具体的な日時及び場所については、丙・丁の福祉に配慮して、甲及び乙が協議し

て定める。

 

第5条(慰謝料)

1 甲は、乙に対し、慰謝料として金〇〇万円の支払義務があることを認め、これを〇〇回に分割して、令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日まで、毎月末日限り金〇万円を第3条1記載の乙名義の普通口座へ振込送金する方法で支払う。

2 振込手数料は甲の負担とする。

3 甲について、下記事由が生じた場合は、乙の通知催告を要さず、甲は、当然に期限の利益を失い、乙に対して残金を直ちに支払う。

⑴ 分割金の支払いを1回でも怠ったとき。

⑵ 他の債務につき、強制執行、競売、執行保全処分を受け、あるいは公租公課の滞納処分を受けたとき。

⑶ 破産、民事再生手続開始の申立てがあったとき。

⑷ (略)

⑸ (略)

 

第6条(財産分与)

甲は乙に対し、財産分与として金〇円の支払義務を存することを認め、これを一括して、令和〇年〇月〇日限り、第3条1記載の乙の普通預金口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。

 

第7条(年金分割)

甲(第一号改定者)と乙(第二号改定者)は厚生労働大臣に対し、厚生年金分割の対象期間にかかる被保険者期間の標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合を0.5とする旨合意し、乙は、離婚届提出後2か月以内に厚生労働大臣に対し、合意内容を記載した公正証書(※1)の謄本を提出して当該請求を行うこととする。

 

甲(昭和〇〇年〇月〇日生)(基礎年金番号 〇〇-〇〇〇〇〇)

乙(昭和〇〇年〇月〇日生)(基礎年金番号 〇〇-〇〇〇〇〇)

 

第8条(清算条項)

甲及び乙は、以上をもって解決したものとし、今後、上記の各条項の外、名義の如何を問わず金銭その他の請求を相互にしないこと、及び甲乙以外の者が本件合意の内容には一切干渉しないことを相互に確認した。

 

第9条(公正証書)

甲及び乙は、本合意につき、強制執行認諾文言付公正証書を作成することに合意した。

 

以上の合意成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙が署名捺印の上、各自1通を保有する。

 

令和〇年〇月〇日

 

(甲)

住所

氏名                ㊞

 

(乙)

住所

氏名                ㊞

 

【↑離婚協議書サンプル↑】

 

離婚協議書は、離婚するにあたって必ず作成しなければならない、というものではありません。

しかし、繰り返しになりますが、書面を作成しておかなければ口約束したことを反故にされてしまい、離婚の生活が立ち行かなくなるかもしれません。

ご自身の身を守るためにも離婚協議書は作成しておくべきです。

 

また、サンプルの第9条にも記載しましたが、離婚協議書は公正証書にしておくとよいです。

公正証書とは、法務大臣が任命する公務員である公証人が作成する公文書のことです。

離婚協議書を公正証書にすると、その威力が倍増するイメージです。

すなわち、仮に、相手方が協議離婚書で約束した内容を守らなかった場合は、裁判を経ずに、この公正証書を根拠に相手方の財産を差し押さえることが可能となるのです。

そのため、こうした強制力を背景に、より相手方が約束を守ってくれることが期待できますし、仮に守らなかった場合は上記のとおり財産を差し押さえる手続きを取ることが可能となります。

 

もっとも、上記のような強制力があるのは、公正証書に「約束を守らなかった場合は直ちに財産の差押えを受けてもかまいません」という強制執行認諾付きの文言を入れた場合のみです。

そのため、協議離婚書ではその文言を入れることに対する合意に関する条項(第9条参照)も入れています。

強制執行認諾付き公正証書の作成方法等については以下の記事で詳しく解説しています。

参考:離婚の慰謝料を公正証書に残す理由は?作成手順、費用も解説

まとめ

慰謝料を含め、離婚の条件のことを取り決めた際は口約束ではなく協議離婚書、強制執行認諾付き公正証書という書面に取り決めた内容を残しましょう。協議離婚書はご自身でも作成することが可能ですが、行政書士、弁護士に依頼して作成してもらうこともできます。

 

 

 

 

 

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