離婚届を勝手に出されたら?離婚を無効とする方法などについて解説

配偶者に離婚届を勝手に出された場合、離婚届は受理され、離婚は成立するのでしょうか?

「離婚届を勝手に出されることなんてあるの?」と思われるかもしれませんが、後述するように、現実にはあり得ることなのです。

離婚届を勝手に出されると、子供がいる場合は、配偶者に親権をもっていかれるおそれもあります。そうなった場合はのちのち面倒なことになります。

そこで、本記事では、

 

 

☑ 離婚届を勝手に出されるパターン

☑ 離婚届を勝手に出されても受理されるが、離婚は無効

☑ 離婚を無効とする方法や戸籍の扱い方

☑ 防止策としての「離婚届不受理申出」

 

 

などについて詳しく解説していきますので、離婚届を勝手に出されそう、出されたという場合の参考にしていただければと思います

 

離婚届を勝手に出されてしまうパターン

離婚届を勝手に出されるパターンは以下のとおりです。

配偶者に離婚届の署名・押印欄に勝手に署名・押印される(パターン1)

離婚届の下の方には夫婦が署名・押印する欄が設けられていますこの欄の署名・押印はあくまで夫婦の意思に基づいた署名・押印でなければなりません、

しかし、配偶者が他方配偶者の意思を無視して署名・押印を勝手に行い、離婚届を勝手に出すということは現実的には可能です。

署名・押印した離婚届を、配偶者に勝手に出されてしまう(パターン2)

パターン1とは異なり、離婚届の署名・押印は自ら行っています。しかし、離婚届を勝手に出されてしまった時点では、配偶者と離婚する意思がないにもかかわらず、離婚届を勝手に出されてしまったというパターンです。

離婚届には安易に署名・押印しないこと大切ですね。

離婚届を勝手に出されても受理される?

離婚届を勝手に出された場合、離婚届はそのまま受理されてしまう可能性があります。そして、離婚届を受理されると、形式上は離婚が成立します

 

離婚届を受理する係である市区町村役場の戸籍係は、住所・本籍が戸籍謄本どおりに正しく記載されているか、子供の親権者となる親の氏名が記載されているか、署名・押印欄に正しく署名・押印されているかなど、離婚届の形式面のみをチェックします。他方で、署名・押印が誰によってなされたか、夫婦に離婚意思があるかなどについてはチェックしません

 

そのため、離婚届を勝手に出されても離婚届を受理され、離婚が成立してしまう可能性があるのです。

 

離婚届を勝手に出された場合の離婚は無効

もっとも、(協議)離婚の成立要件は

 

【協議離婚の成立要件】

① 不備のない離婚届の提出(形式的要件)

② 離婚意思の合致(実質的要件)

 

の2つの要件を満たす必要があるところ、【パターン1】の場合は①(あるいは、①・②の両方)の要件を、【パターン2】の場合は②の要件を満たさないことは明らかです。

したがって、いずれのパターンで離婚届を勝手に出されても、離婚の成立要件を満たさず離婚は無効だと解されています

 

離婚を無効とする方法は?

離婚を無効とするには調停を申し立てる訴訟を提起する、のいずれかの方法を取る必要があります。

離婚は勝手に無効になるわけではありません。手間暇かかりますが、裁判所に無効と宣言してもらう必要があります。

調停を申し立てる

この場合の調停とは、正確には「協議離婚無効確認調停」といいます。

離婚届を勝手に出した他方配偶者(相手方)の住所地を管轄する家庭裁判所に対して「協議離婚無効確認調停の申立書」や添付書類を提出して調停の申立てを行います。

調停では、調停委員が夫婦の間に入って話を取りまとめ、夫婦間で離婚が無効であることにつき合意ができれば調停が成立し、離婚が無効であることの判断(合意に相当する審判)が下されます。他方で、配偶者が調停に出席しない、出席しても合意しない場合などは、調停は不成立となります。

なお、相手方が別の第三者と婚姻していた場合は、相手方とその第三者を相手とした「婚姻取消し調停の申立て」も行うことが必要です。

 

【協議離婚無効調停】

  • 必要書類(標準)

・申立書 ※書式は以下の裁判所のHPよりダウンロード可です。

・申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)

・相手方の戸籍謄本(全部事項証明書)

・離婚届の記載事項証明書

  • 申立先の家庭裁判所

・相手方の住所地を管轄する家庭裁判所

※詳細は以下の裁判所のHPへ

  • 申立て費用

・収入印紙1,200円 ※申立書に貼付します

・郵便切手     ※申立先の家庭裁判所にあらかじめお問い合せください

 

参考:協議離婚無効確認調停|裁判所

 

訴訟を提起する

調停が不成立となった場合は、家庭裁判所に対して「離婚無効確認訴訟」を提起します。

具体的には、裁判所に対して訴状を提出し、期日においては、証拠(物証、人証)を提出して、離婚届の署名・押印欄が本人の意思によるものではない(パターン1の場合)こと、離婚届を勝手に出された時点では離婚意思がなかったこと(パターン2の場合)などを立証する必要があります。

そして、証拠によってこれらの事実が認定されれば、協議離婚無効の判決が出されます。

離婚届を勝手に出された場合の戸籍は?

離婚届を勝手に出された場合でも、戸籍は、届出通りに書き換えられてしまいます

たとえば、夫に勝手に離婚届を出された場合、夫を筆頭者とする戸籍の場合は、妻は夫の戸籍から除籍され、婚姻前の戸籍(多くの場合、親の戸籍)に戻るか(復籍)、新しい戸籍を作ることになります。

 

調停や裁判で離婚が無効とされた後は、市区町村役場の戸籍係で戸籍の訂正を申請しなければなりません。申請期限は審判確定、裁判確定後1か月以内です。

調停の場合、「審判書謄本」と「確定証明書」を、裁判の場合、「判決書謄本」と「確定証明書」をそれぞれ持参して申請します。審判書謄本と判決書謄本は裁判所から郵送されてきますが、確定証明書は裁判所に申請して取り寄せる必要があります。申請方法が分からない場合は、調停期日(調停の場合)、あるいは判決期日(裁判の場合)に裁判所書記官に尋ねれば教えてくれます。手数料が1通につき150円かかります。

 

離婚届を受理されたくないなら離婚届不受理申出を

離婚届不受理申出とは、離婚届が提出・受理される前に、基本的には市区町村の戸籍係の窓口で、離婚届を受理しないよう申し出る制度のことです。

申出には「不受理申出書(市区町村によってはインターネットからダウンロード可)」、「申出人の印鑑」、「申出人の本人確認書類」が必要です。

離婚届不受理申出については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:離婚の成立を阻止するための離婚届不受理申出とは?申出方法も解説

 

離婚届の署名・押印欄に勝手に署名・押印する行為は犯罪

離婚届の署名・押印欄に勝手に署名・押印する行為は「私文書偽造罪(刑法159条1項=3月以上5年以下の懲役)」に、その偽造した離婚届を市区町村役場の戸籍係の窓口に出す行為は「偽造私文書行使罪(刑法161条1項=3月以上5年以下の懲役)」にあたる可能性があります。

 

また、離婚届を勝手に出し、戸籍に事実とは異なる記載をさせた場合は「電磁的公正証書原本不実記録罪(刑法157条1項=5年以下の懲役又は50万円以下の罰金)」にあたる可能性があります。

 

まとめ

あなたの離婚意思とは関係なく、婚届を勝手に出されても離婚届は受理され、離婚が成立してしまう可能性があります。

そのための事前の止策は離婚届不受理申出を行っておくことです。また、事後にできることは、まずは協議離婚無効確認調停を申し立てることです。調停や裁判で離婚が無効となった場合は、戸籍を訂正する手続きもお忘れなきようお願いします。

調停、裁判は手間暇かかり、負担も大きいですから、積極的に、離婚届不受理申出を活用しましょう。

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