少年法の改正による厳罰化とは?逆送についても元検察官が詳しく解説

報道によると、令和2年7月30日、少年法改正について協議してきた自民党、公明党の両党の実務者は、

 

少年法の対象者を「20歳未満の者」としている現行少年法の規定を改正しないこと

 

とした一方で、

 

逆送決定を受け起訴された少年については実名報道を可能とすること

逆送決定の対象事件を拡大すること

 

などで合意したとのことです。

そこで、今回は

 

☑ 少年法

☑ 少年法の「逆送(決定)」

 

について解説してまいります。

 

少年法とは

少年法(以下、「法」といいます)とは、

 

① 罪を犯した少年

② 14歳未満の刑罰法令に触れる行為をした少年

③ 一定の事由があって、少年の性格等に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年

 

のいずれかの少年(法3条1項)に適用される法律です。少年法でいう「少年」とは「20歳未満の者」をいい(法2条1項)、「者」と表現されていることから男女を問いません。なお、①の少年を「犯罪少年」、②の少年を「触法少年」、③の少年を「ぐ(虞)犯少年」といいます。

少年法の目的は、少年の性格を矯正し、少年を取り巻く環境を整備することによって少年を更生させることです。そのため、少年法は、原則として少年に懲役、罰金などの「刑罰」を科すことよりも、少年の更生に重きを置く「保護処分」を科すとしています(法1条)。

 

保護処分には

 

☑ 保護観察

☑ 児童支援施設OR児童養護施設送致

☑ 少年院送致

 

の3種類があります。

保護観察は、普段どおりの生活を送りながら保護観察所の指導の下、更生を図っていく処分です。児童支援施設OR児童養護施設送致は、少年をいずれかの施設に一定期間入所させて更生を図っていく処分、少年院送致は、少年を一定期間少年院に収容させて更生を図っていく処分です。

少年は少年法の適用を通じて、警察(警察官)、家庭裁判所、少年鑑別所、裁判官、家庭裁判所調査官、弁護士などの機関、人と関わることになります。その関わり合いの中で、少年は自ら犯した罪、非行と向き合い、新たに整えられた環境の中で更生の道を歩んでいくこととなるのです。

 

逆送決定とは?

逆送決定とは、家庭裁判所の少年審判において、保護処分を科すのではなく検察庁へ送致する旨の決定のことです。

 

①の犯罪少年が逮捕されてから少年審判までの流れはこうです。

 

逮捕→留置場収容→検察庁へ送致→勾留→留置場収容→【取調べなど】

(検察庁から)家庭裁判所へ送致→少年鑑別所収容→【調査】→少年審判

 

しかし、逆送決定が出た場合は、少年審判で事件は終結せず、家庭裁判所から検察庁へ事件を送り返されます。一度、検察庁から家庭裁判所へ送致された事件を、再度、検察庁へ送り返す(送致する)という意味で「逆送」と呼ばれています。

 

逆送決定は保護処分と同様、少年審判で出されます。逆送決定を受ける可能性がある少年は①の犯罪少年です。

もっとも、逆送決定が出される場合は少年法で規定されています。つまり、現在の少年法では、家庭裁判所は、

 

① 家庭裁判所送致後に少年の年齢が20歳を超えること(年齢超過)が判明した場合(法19条2項)

② 犯罪少年が「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪(※)」を犯したときに14歳以上の場合において、調査の結果、事件の内容及び情状に照らし、その少年に保護処分よりも刑罰を科すことが相当と認められる場合(法20条1項)

③ 犯罪少年が「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪(※)」を犯したときに16歳以上の場合(ただし、一定の事情が認められる場合は逆送とならない例外あり)(法20条2項)

 

※殺人(刑法199条)、強盗致死・強盗殺人(刑法240条)、現住建造物等放火(刑法108条)など

※殺人、強盗致死・強盗殺人、傷害致死(刑法205条)、危険運転致死(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)など

 

のいずれかにあたる場合に、逆送決定を出さなければならないとされています。

 

報道によれば、改正少年法では、

 

実名報道が可能となること

 

に加えて、

 

逆送決定の対象事件が拡大する

 

見込みです。つまり、現在の少年法では

 

③故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪

 

を原則逆送事件の対象としており、強盗(刑法236条:5年以上の懲役)や強制性交等罪(刑法177条:5年以上の懲役)などの罪は逆送決定の対象事件ではありませんが、これを

 

法定刑の下限が1年以上の懲役・禁錮の罪

 

と改正することによって、強盗や強制性交等罪(刑法177条:5年以上の懲役)などの罪も逆送決定の対象事件としようとしているようです。

逆送決定を受けた少年は、基本的には成人と同様、刑事裁判を受け、裁判で有罪となれば死刑、懲役、禁錮などの刑罰を受けることになります。

 

まとめ

少年法が適用される年齢の引き下げには待ったがかかりましたが、実名報道、逆送決定の対象事件の拡大など、少年にとって不利な改正も予定されているようです。

今後は、法務所の審議会で少年法の改正案を作成し、来年の通常国会に提出して法案の成立を目指すとのことです。

 

以上

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