【元検察官が解説】逮捕後の流れ、逮捕から裁判までに釈放されるタイミング

ご家族、ご友人・知人が逮捕された、と聞くと、真っ先に気になるのが

その後の流れは?

いつ釈放される?

ということではないでしょうか?

そこで今回は、元検察官の私が、逮捕後の流れや釈放のタイミング、釈放の条件についてわかりやすく解説していきます。

この記事を読んでわかること

  • 逮捕の種類がわかる
  • 逮捕後の流れがわかる
  • 釈放のタイミングがわかる  
  • 釈放の条件がわかる

 



逮捕の種類

逮捕は

 

  • 通常逮捕
  • 緊急逮捕
  • 現行犯逮捕(準現行犯逮捕を含む) 

 

の3種類です。

通常逮捕

通常逮捕は裁判官が発する逮捕状による逮捕です。

事件から一定期間経ってからの逮捕ですので、後日逮捕などともいわれます。

 

通常逮捕の要件(通常逮捕状発布の要件)は、

 

  • 罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があること
  • 被疑者が逃亡、罪証隠滅するおそれがあること   

 

です。

 

通常逮捕までの流れは以下のとおりです。

 

① 被害者が警察に被害届を提出・受理 (※被害者がいる事件)

② 警察の捜査開始

③ 警察官が裁判官に逮捕状を請求

④ 裁判官が逮捕状を発布

⑤ 警察官が逮捕状で逮捕

 

警察官はそれまでの捜査で集めた証拠資料などを裁判官に提出して逮捕状を請求します。(③)。

裁判官は証拠資料などを見たり、場合によっては警察官から直接話を聴くなどして、通常逮捕の要件を満たすかどうか検討します。

そして、要件を満たすと判断した場合は逮捕状を発布します(④)。

 

その後、警察官が発布された逮捕状で被疑者を逮捕します(⑤)が、いつ逮捕するかは警察官が決めます。

警察官がいつ裁判官に逮捕状を請求するか、発布された逮捕状でいつ逮捕するかは警察官以外知ることができません

通常逮捕では、

 

  • 警察官が突然、被疑者の自宅等を尋ねて逮捕する
  • 警察官から任意出頭を求められ、出頭後に警察署で逮捕される

 

というパターンが多いです。

緊急逮捕

緊急逮捕は一定の罪について、緊急性が高いため、逮捕状なしに逮捕するものです。

ただ、逮捕直後に、警察官が裁判官に対して逮捕状を請求しなければならず、発布された場合は逮捕状で逮捕手続きを取り、発布されなかった場合は釈放されます。

 

緊急逮捕の要件(緊急逮捕状発布の要件)は、

 

  • 死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪
  • 罪を犯したと疑うに足りる充分な理由があること
  • 急速を要し、裁判官の逮捕状の発布を求めることができないこと  

 

です。

 

「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪」とは、たとえば以下のような罪です。

 

  • 殺人罪(死刑又は無期若しくは5年以上の懲役)
  • 傷害罪(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)
  • 傷害致死罪(3年以上の有期懲役)
  • 強制性交等罪(5年以上の有期懲役)

 

他方で、暴行罪は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」ですから、暴行罪では緊急逮捕できません。

現行犯逮捕

現行犯逮捕は、犯罪の現行性・明白性が高く誤認逮捕のおそれがないことから、裁判官が令状なしに逮捕できるものです。

通常逮捕、緊急逮捕と異なり、一般人でも逮捕が可能なのが現行犯逮捕の一番の特徴といえます。

現行犯逮捕の要件は、

 

  • 犯罪が現に行われ、行い終わったこと(現行性)
  • 逮捕者にとって犯罪と犯人が明白であること(明白性)

 

です。

また、準現行犯逮捕の要件は、

 

  • 犯罪を行い終わってから間がないと認められること
  • 次のいずれかの事情が認められること
    • 犯人として追跡されていること
    • 窃取した物あるいは明らかに犯罪に使ったと認められる道具を所持していること
    • 身体又は洋服に犯罪の顕著な痕跡があること
    • 現場から逃走しようとすること

 

です。

 

釈放のタイミングはいつ?逮捕から判決までの流れ

逮捕後の流れは通常逮捕、緊急逮捕、現行犯逮捕の場合でも同じです。

以下では、警察に逮捕されてから判決までの流れを概観し、釈放されるタイミングはいつなのかみていきましょう。

 

まず、逮捕後、判決までの流れは以下のとおりです。

 

逮捕

留置場に収容

警察官の弁解録取 ➡ 釈放①

送致(送検)

検察官の弁解録取 ➡ 釈放②

検察官の勾留請求

裁判官の勾留質問 ➡ 釈放③

勾留決定(勾留)

捜査       ➡ 釈放④

起訴

刑事裁判     ➡ 釈放(保釈)⑤

判決

 

逮捕から送致までの流れ

警察に「逮捕」されると警察署の留置場に収容されます。

また、それに前後して警察官の弁解録取という手続きを受けます。

弁解録取は、逮捕事実を認めるか否か、認めないとしてどの点を認めないかの言い分を述べる手続きですが、実質は取調べです。

 

弁解録取を経て、警察官が身柄拘束を継続する必要があるか釈放するかを判断します。

警察官が身柄拘束を必要と判断した際は、逮捕から48時間以内に事件と身柄を検察庁に「送致」されます。

一方、警察官が身柄拘束を不要と判断した際は釈放(①)されます。

 

釈放のタイミング①

逮捕から48時間以内 

 

送致から勾留請求までの流れ

警察から検察庁へ事件と身柄を送致されると、今度は検察官の弁解録取を受けます。

弁解録取を経て、検察官が身柄拘束を必要と判断した際は、送致から24時間以内に裁判官に対して勾留請求します。

勾留請求とは、被疑者を勾留という逮捕よりも長い身柄拘束を請求するものです。

一方、検察官が身柄拘束を不要と判断した際は釈放(②)されます。

 

釈放のタイミング②

逮捕から72時間以内

 

勾留請求から勾留決定までの流れ

検察官に勾留請求されると、今度は裁判所内の勾留質問室で、裁判官の勾留質問を受けます。

勾留質問は、裁判官と対面して逮捕事実に関する言い分を述べる手続きです。

 

勾留質問を経て、裁判官が勾留を必要と判断した際は勾留状が発布され、留置係警察官を通じて呈示を受けます。

勾留状の呈示を受けた時点で勾留です。

一方、裁判官が勾留を不要と判断し検察官の勾留請求を却下した場合で、かつ、次の場合は釈放(③)されます。

 

  • 検察官が却下の判断に不服を申し立てない
  • 検察官が不服を申し立てたものの、認められなかった場合

 

検察官の不服申し立てが認められた場合は勾留が続きます

 

釈放のタイミング③

逮捕から約3〜4日後

 

勾留決定から起訴までの流れ

勾留されるとはじめ10日間、その後、延長され最大10日間、身柄拘束される可能性があります。

ただ、裁判官の勾留決定、勾留延長決定には不服を申し立てることが可能です。

不服申し立ては被疑者についている私選又は国選の弁護人が行います。

不服申し立てが認められた場合は期間の途中でも釈放(④)されます。

また、不服申し立てしなくても、検察官が身柄拘束を不要と判断した場合は、検察官の権限で釈放されることがあります。

 

釈放のタイミング④

勾留期間中

 

起訴から判決までの流れ

勾留のまま起訴された場合は、自動的に2か月間の身柄拘束が決定します。

起訴後は裁判所に保釈請求することで釈放(⑤)が可能です。

ただ、保釈されるには、保釈の要件を満たし、かつ、裁判所に保釈保証金を納付することが条件です。

また、保釈条件(※)を守らないと保釈を取り消されます。保釈を取り消されると保釈保証金は没収され、収容の手続きを取られてしまいますので注意が必要です。

では、保釈が許可されずに判決まで至った場合はどうなるのでしょうか?

まず、判決が執行猶予付き判決だった場合や判決内容が罰金だった場合は身柄拘束の効力が失われ釈放されます。

一方で、判決が死刑の場合はもちろん懲役・禁錮実刑の場合は身柄拘束の効力は失われず身柄拘束が継続します。

 

※保釈条件

指定された日時に裁判所に出廷すること、定められた住居(制限住居)に居住すること、遠出をする場合は裁判所の許可を得ることなどです。

 

釈放の条件

釈放の条件は起訴前と起訴後で異なります。以下では、起訴前の釈放の条件、起訴後の釈放の条件にわけて解説します。

起訴前の釈放の条件

起訴前の釈放の条件は

 

  • 逃亡のおそれがないこと
  • 罪証隠滅のおそれがないこと      

 

です。

逃亡のおそれがないとは、具体的には以下のようなケースです。

 

☑ 罪を認めている

☑ 示談が成立している

☑ 初犯(前科がある)

☑ 事件が軽微

☑ 不起訴、罰金が見込まれる

☑ 定職に就いている

☑ 適切な監督者がいる

 

また、罪証隠滅のおそれがないとは、具体的には以下のようなケースです。

 

☑ 罪を認めている

☑ 示談が成立している

☑ 事件が軽微

☑ 捜査が終わっている

☑ 集める証拠が少ない

☑ 被害者と接触する機会がない

  • 被害者の住所、連絡先を知らない
  • 被疑者が引っ越した
  • 被害者が引っ越した

 

なお、いずれか一つに当てはまれば逃亡、罪障隠滅のおそれがないと判断されるわけではありません。

複数の事情を総合的に勘案して逃亡、罪障隠滅のおそれがないかどうか判断されます。

起訴後の釈放の条件

起訴後の釈放の条件とは、すなわち保釈の条件のことです。

保釈の条件については2段階にわけて判断されます。まず、

 

  • 刑事訴訟法89条1号から6号までの事由に該当するか否か   

 

です。

すなわち、同法1号から6号までの事由に該当しなければ、必ず保釈されます。これを「権利保釈」といいます。

「刑事訴訟法89条1号から6号」とは以下のとおりです。

 

1号 

被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯した。

2号

被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けた。

3号

被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯した。

4号

被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある。

5号

被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由がある。

6号

被告人の氏名又は住居が分からない。

 

また、上の1号から6号に該当しても(権利保釈が認められなくても)次の事情が認められると裁判所の裁量で保釈されることがあります。この保釈のことを「裁量保釈」といいます。

 

  • 逃亡のおそれがないこと
  • 罪証隠滅のおそれがないこと
  • 身柄拘束を受けることにより、被告人が健康上、経済上、社会生活上又は裁判準備上の不利益を受けるおそれがあること

 

上記の事情が認められるからといって必ず保釈されるわけではありません。保釈するかどうかは裁判所の裁量に委ねられるという点に注意が必要です。

 

まとめ

逮捕から裁判までに釈放されるタイミングは次の5つです。

 

  • 警察官の弁解録取の後
  • 検察官の弁解録取の後
  • 裁判官の勾留質問の後
  • 勾留から起訴までの間
  • 起訴後         

 

起訴までは警察官、検察官の判断で釈放されることもあります。しかし、それに期待しすぎてもいけません。

釈放を希望する場合は弁護士から捜査機関へ働きかけを行ってもらうなり、裁判所に対して不服を申し立ててもらうなりの行動をとってもらう必要があるでしょう。

一方で、起訴後の保釈については、裁判所に対する保釈請求をしてはじめて可能となります。保釈請求は弁護士以外の人が行うことも法律上可能ではありますが、通常は弁護士が行います。

 



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