特定遺贈と包括遺贈の違いとは?それぞれの特徴について詳しく解説

これから遺言書を書く、あるいは故人が書いた遺言書を読み解くにあたって知っていただきたいのが特定遺贈と包括遺贈です。

いずれの遺贈かによって、どういう効果が発生し、残された相続人、受遺者は何をすべきかが変わってきます

ぜひ、本記事を最後までご一読いただき、特定遺贈と包括遺贈の違いについて知っていただければと思います。

 

特定遺贈とは

特定遺贈とは、誰にどの財産を引き継ぐのかを特定して行う遺贈のことをいいます

具体的には、遺言書に「〇〇の財産を●●に遺贈する」などと記載されている場合が特定遺贈です。

 

財産を遺贈された人(受遺者)は、指定された財産のみ引き継ぎます

受遺者が、相続人でない場合は、遺産分割協議に参加する必要はありません

 

たとえば、夫(A)、妻(B)、子(C)の3人家族で、夫が遺言書に「遺言者名義の●●銀行の預金口座のうち、100万円を××(D=Aが普段から付き合いのあった人)に遺贈する。」という記載を残して死亡したとします。

この場合の、相続人はBとCですが、相続人でないDは遺言によって100万円を引き継ぐことができ、かつ、相続人でないことから、BとCの遺産分割協議には参加しなくてよいということになります。

 

もっとも、遺贈は遺言者(A)による一方的な意思表示によって行われるものですし、DはB・Cとの争いごとを避けるため遺贈を放棄したいと考えるかもしれません。その場合、DはB・C(遺言執行者が指定されている場合には遺言執行者)に対して「遺贈を放棄する」という意思表示することで、遺贈を放棄することができます(意思表示は内容証明により行われることが多いです)。

 

遺贈放棄には期限はなくいつでも可能ですが、これでは、上記の100万円をDに引き継ぐべきなのか、B・Cが引き継ぐべき相続財産とすべきなのかいつまでも確定しないことになります。そのため、B・Cは、Dに対して、相当の期間を定めて遺贈を承認するか又は放棄するか決めてください、と催告することができます。そして、Dが定められた期間ないにいずれの意思表示もしない場合は、遺贈を承認した(100万円を引き継いだ)ものとみなされます

 

包括遺贈とは

包括遺贈とは、引き継ぐ財産を特定しない遺贈のことです。

包括遺贈には、全部包括遺贈、割合的包括遺贈、特定財産を除いた財産についての包括遺贈、清算型包括遺贈の4種類があります。

具体的には、遺言書に「全財産を●●に遺贈する。」と記載されている場合が全部包括遺贈です。

 

包括遺贈された人(包括受遺者)は、相続人と同一の権利義務を有するとされています(民法990条)。したがって、相続人と同じく、遺言で指定された割合の範囲内で、プラスの財産のみならずマイナスの財産(借金、債務)も引き継ぐことになります。また、相続人でない場合でも、遺産分割協議に参加して、具体的にどの財産を、どういう形で引き継ぐのか話し合わなければなりません

 

たとえば、前述の家族構成で、Aが長年、自分を介護してくれたCの妻(D)に財産を遺贈するため「全財産の5分の2をBとCに相続させる。全財産の5分の1をDに遺贈する。」という遺言書を残して死亡したとします。この場合、Dは遺言で指定された割合の範囲内で、Aのプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことになり、かつ、B、Cと共に遺産分割協議しなければなりません。

 

もっとも、特定遺贈と同様に、Dは遺贈を放棄することができます

放棄の方法は特定遺贈の場合と異なります。すなわち、相続人が相続放棄する場合と同様に、遺贈されたことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に対して「相続放棄申述書」などの書類を提出して行う必要があります。放棄の方法は以下の記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。

 

参考:相続放棄で必要な書類は11種類!配偶者、子、親、兄弟姉妹別に解説

 

まとめ

特定遺贈と包括遺贈の違いを表にすると以下のとおりとなります。

 

特定遺贈 包括遺贈
特徴 財産を特定する 財産を特定しない
借金(債務) 引き継がない (割合に応じて)引き継ぐ
遺産分割協議 参加しない 参加しなければならない
遺贈の放棄 遺贈義務者(相続人など)に対して意思表示する 遺贈があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に対して行う

 

包括遺贈は包括受遺者に借金(債務)まで引き継がせる点、相続人との遺産分割協議にも参加させなければならない点で負担が大きいといえます。

受遺者に負担のない遺贈を行いたい場合は特定遺贈を選択した方がよいでしょう。遺贈された受遺者は包括遺贈の場合は、上記の点をしっかり頭に入れて遺贈を承認するか放棄するか決めなければなりません。

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